2時間の閉鎖空間 屋形船で感染拡大、関係者に連鎖の疑い

 東京都内で確認されている新型コロナウイルスの感染は、都内の個人タクシー組合支部が開いた屋形船の新年会という閉鎖空間で拡大した可能性が高まっている。乗船者の感染は10人を超え、船外でもその親族や、職場の同僚らから感染が確認された。感染者から濃厚接触者へ次々と広がった可能性があり、感染が連鎖した疑いがある。

 個人タクシー組合支部は1月18日、屋形船を貸し切って新年会を開催した。都によると、運転手やその家族ら計約70人が出席し、屋形船従業員約15人が接客などに当たった。従業員の1人は15日、16日のいずれかで中国湖北省武漢市からの旅行者を接客したと説明している。

 新年会は約2時間続き、当時は雨が強く、窓は閉まっていたとされる。都はほとんど換気のない閉鎖空間だったとみており、担当者は「屋外であれば風で拡散、希釈されるウイルスを含んだ飛沫(ひまつ)が船内に滞留するため、感染リスクはかなり高かったのではないか」と分析する。

 都は最初に感染が確認された70代男性運転手を中心にした濃厚接触者検査を実施し、対象者は他の参加者や屋形船従業員ら約190人に広がった。約180人は陰性だったが、乗船していた感染者は運転手6人を含む11人に上る。

 感染者と接点のある関係者も陽性が確認されている。70代運転手の義母に当たる神奈川県の80代女性=死亡=には22日に倦怠(けんたい)感の症状があらわれたが、その前日に運転手の妻と会っていたという。義母が一時入院していた相模原中央病院(相模原市)に勤務し、看護を担当した40代女性看護師も感染した。

 牧田総合病院蒲田分院(東京都大田区)勤務の50代女性看護師は、別の運転手の家族として新年会に参加した。この看護師と1月下旬に複数回、病院外で食事を一緒にした同分院の60代男性医師も感染。牧田総合病院は17日、当面、外来を休診し新規入院も休止することを決め、患者など濃厚接触者を確認して、検査を受けるよう呼び掛けるとしている。

 タクシー運転手やその関係者内で広がる感染。日本感染症学会指導医で江戸川病院総合健診センター(江戸川区)の寺田総一郎センター長は「密閉空間でウイルス量が多い場合、感染リスクは高まるが、互いにマスクをして手洗いや消毒を徹底すれば疑心暗鬼は避けられるのではないか」と話す。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ