消える「130年の職人技」 目で見る天候観測に終止符

 全国の気象台で、職員が実際に目で見て天気を観測し、気象庁へデータを送る目視観測業務が消えていっている。機械化の進展に伴う業務効率化の一環だが、担当者は「駆け出しの頃は雲の見方を先輩に教わったものでした」と寂しげだ。

明治以来の伝統

 「高いところは平気ですか?」

 寒風の厳しい2月上旬。岡山地方気象台(岡山市北区)の入居する5階建てビルの屋上にある、白い鉄塔に案内してもらった。鉄塔の高さは40メートル。むき出しの階段は、一応柵はあるものの簡易な作りで、慎重に登らなくてはいけない。

 頂上に着くと、ぐっと視界が広がった。「日中はここから雲の形や、見通しを目視でチェックしていたんですよ」。同気象台の観測予報管理官、楠田和博さん(57)は解説する。

 気象台の職員たちが観測していたのは午前9時、午後3時、午後9時の1日3回。毎回空を360度見渡し、雲の量や形、視程(見通せる距離)を確認しては、「晴れ」「曇り」など天気を記録。パソコンで入力し、気象庁に送っていた。

 だが、この作業が2月3日に終了した。

 レーザーを放ち光の透過率などから視程を計測する「視程計」や、気象衛星のデータを使い、作業は自動化されたからだ。

 気象衛星や観測レーダーの進歩により、すでに観測の自動化は進んでいたものの、同気象台の目視観測は観測を始めた明治24(1891年)以来、残っていた“伝統”でもあった。

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