虐待、貧困から少女を守れ 一時保護施設と連携の自立援助ホーム設立へ

 虐待や貧困などで行き場を失った少女らを支援する自立援助ホーム「Re-Co(りこ)」が4月、大阪府吹田市に設立される。スタッフが24時間常駐し、担当弁護士が長期的にかかわっていく。緊急的な一時保護施設と連携して運営。こうした形態の自立援助ホームは関西で初めてで、少女らに継続して寄り添う場として期待されている。(加納裕子)

 設立するのはNPO法人「子どもセンターぬっく」(大阪市北区)。平成28年に一時保護施設「ぬっくハウス」を設立し、児童相談所による一時保護の対象にならない18歳以上や、18歳未満でも児相の一時保護所への入所が難しい少女らを受け入れてきた。昨年末までに計88人が入所した。

 ただ施設では、虐待する保護者らから守るために外部との連絡はとれず、通勤も通学もできない。滞在の目安は2週間から2カ月間だが、その先の行き場がないために1年近く滞在する少女もいる。同NPOは「自由に外出でき、中長期的に保護できる場所が必要」として、自立援助ホーム設立の準備を進めてきた。

 新設するホームは、中学卒業後から20歳未満までが対象で定員6人。半年から2年程度の入居を想定している。個室があり、リビングで集うこともでき、就労や就学も可能。スタッフが24時間常駐するほか、担当弁護士が一人一人について日常生活や自立に向けた支援を行う。施設名には「再出発を共に支える」との意味が込められている。

 NPO理事の相間(あいま)佐基子弁護士によると、各都道府県に少なくとも1カ所の「子どもシェルター(一時保護施設)」を作る取り組みが進みつつある。男女別の施設が必要だが、性被害など犯罪に巻き込まれやすい少女向けが優先的に作られている。関西では京都府、和歌山県、兵庫県にシェルターがあるが、退所後も連携して支援を継続できる自立援助ホームはこれまで関西にはなかったという。

 厚生労働省によると、自立援助ホームは全国に154カ所(平成29年10月)。大阪府内には現在9カ所(定員51人)あるが足りておらず、まだ支援が必要な子供たちが早すぎる自立を迫られているのが現状だ。

 相間弁護士は「親から愛情を受けられず、自分の存在意義を失ったり、人を信頼できなくなったりした子供がたくさんいる。『困った子』といわれる子は、本当は『困っている子』。新しい自立援助ホームは、退所後もいつでも相談に来られる場にしたい」と話している。

 ■生活支え、悩み聞き…求められる少女へのサポート

 「働いて一人で生きていくにはまだ若い少女たちが、行き場を失っている。大人のサポートが必要」。ぬっくで活動する弁護士らは口をそろえる。

 ある少女(16)は、親からの虐待に耐えられず、家を出た。緊急保護施設であるぬっくハウスで2カ月過ごし、住居付きの職場に就職。しかしフルタイムの勤務に疲れ果て、職場の人間関係にも悩み、出勤できなくなって住居も仕事も失った。「大人が近くにいて生活を支えたり、仕事の悩みを聞いたりできる環境があれば」と担当弁護士は悔やむ。

 女子大学生(18)は同居の親族から暴力を受け続け、助けを求めてぬっくハウスへ。しかし、外出が制限されて大学に通えないため、しばらく過ごした後、アパートを借りて移り住んだ。「一人になるのは不安、つらいと訴えていたけれど、ほかに方法がなかった」と担当弁護士は言う。そのまま1人暮らしを続けることはできず、別の親族の家に身を寄せた。

 別の弁護士は「親から逃げてきたのに、学校に通うために結局親元へ戻るという選択をする高校生も少なくない。通学しながら安心して暮らせる場が、もっと必要だ」と話している。

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