小泉進次郎氏会見詳報(3)ヤマト運輸と日本の社会保障の構図は同じ その心は…

=(2)から続く

 --社会保障も含めた日本の国のあり方については

 「まず農業、林業、漁業。1次産業というのをもう一度、地方の活性化の柱に社会全体が認識し直す時代が来た。鹿児島銀行の頭取がすばらしいことを言っていた。すばらしいことを実際にやっている」

 「それは、地銀って地域密着といいながら、農林水産業にお金を貸さない。じゃあ地方の経済で何が大事なのか。それを考えたら、どう考えたって、農業、漁業だと。なのに金を貸さないという地銀があっていいのか。自分が偉くなったら、それを変えたいと。そんな銀行であってたまるかってね」

 「鹿児島銀行の頭取になって今、何をやっているかというと、新しい農業法人を立ち上げて、その農業法人に鹿児島銀行の職員たちが出向しているんですよ。まさに、まずは隗より始めよ。口だけの地域密着ではない。そのあり方を実現している取り組みが始まったというのは、ものすごく勇気づけられるし、1次産業は地方から逃げない産業。工場は逃げられますよ。工場は海外にだって行ける。農業はそこでやっていかなければいけない。もちろん将来的には、日本から海外の農地に行って、そこで農業をやって日本に対して逆輸入してくる、こういった農業だって、どんどん出てくると思う。ただ基本的には、地方の活性化に1次産業の発展は不可欠ですよ。そして、これだけのびしろがある産業はない」

 「うれしいのは、最近若い人たちがいまだかつてないぐらい、農業や林業に目を向け始めてきた。なぜだろうかと考えると、1つには、10年後もどうなっているか分からない、この将来。本当に10年後どうなっているんだろうという、まさに今、私たちが(2020年以降の経済財政構想)小委員会や(人生100年時代の制度設計)特命委員会で議論している、人生100年時代における働き方とは何なのかといったときに、1つの会社に就職して終わりじゃなくて、いろんなレールがあって、複線型のキャリアを生きていかなきゃいけない。こういった中での、今までのエスタブリッシュメントの業界にいる人たちの10年後に対する危機感というものは、すごい。どうなるか分からないという」

 「そういう時代に、不確かな未来の中に確かな未来って何なのかと考えたときに、人は食べなきゃ生きていけない。これは未来も変わらない。食べるものを作るのは農業なんですよ。自分で食べるものを作れる、これ、究極のものづくり。こんなにワクワクする世界はない。ここは、若者が農業や林業に目を向け始めた、集合的無意識の中にある答えは、不確かな時代の確かなものは何なのかという探求の先にある答えに1次産業というのがあるんじゃないか」

 --政治は、それに応えることをやっているか

 「そう思って、ずっと農業改革をやって、これだけ農業のことがニュースになったことも今までなかったんじゃないか。それと自分自身も、本当に食育って大事だなと思う。(自民党の)農林部会長になったことが、私にとっての最大の食育」

 「今、(手元にあるグラスの)お水を見ていても、『ああ、これだけおいしいお水を飲めるのは、林業家のみなさんが山を管理してくれているおかげだな』。レストランで食べるときだって、ひとつひとつの食に対する思いが、どんどん強くなる。これをもっと共有すれば、医療費にお金を使うよりも、おいしい健康的な食にお金を使う、そういった国づくりを時間をかけてでもやっていきたい」

 --小池百合子東京都知事が先ほど自民党に離党届を出した。ぜひ送別のメッセージを

 「送別のメッセージ(笑)。自民党時代はお世話になりました。これからも頑張ってください。以上です」

 --都議選の行方は、地方選挙と言っても国政に直結するような影響を与える。小泉氏も応援に行くだろうが

 「その前にね、地元の選挙を抱えている。6月11日から18日が(神奈川県)三浦市長選、18日から25日が横須賀市長選。自分の足下をしっかりしなきゃいけませんから」

 --これまで育児保険のように、こども保険に似た政策が何度も検討されて、実現できなかった。こども保険はどこが違うのか

 「少子化と高齢化に伴う社会のひずみというかね、このことに対する危機感の共有が、今はあるんじゃないか。たぶん過去の育児保険とかは、15年ぐらい前にも厚労省の中でも検討された。だけど残念ながら人口減少の問題は、確実に進んでいくけども、それを五感で実感しにくい問題でもある。減り続けるのは分かりながら、なかなか危機感を持って今すぐに対応しなければまずい、となりにくい。それが今、人口減少の負のインパクトというものを五感でも感じるような現象が社会で次々に起きてきたことが、こども保険の議論の下支えになっているのではないかなと思ったりする」

 「例えばヤマト運輸が値上げさせてくださいと。このままじゃもちませんと。この動きを見ていて思ったのは、日本の社会保障と同じだなと思った。このままではもたない。消費税を上げさせてくださいといったのが、(平成24年の旧民主、自民、公明の社会保障と税の一体改革に関する)3党合意ですよね。ヤマト運輸とかぶりましたよ。しかしそこから先、何が違うかというと、宅配便のない社会はもう想像できないから、上げさせてくださいと言った後に、仕方ないなとなる。インターネットで、PCで、スマホで買い物するときに、逆に言えば、街中で汗びっしょりになって宅配している人を見ると、『また頼んでごめんね』という申し訳なさを思うぐらい、社会にとって必要だという認識が共有された。これ、なくすわけにいかんと」

 「社会保障だって同じじゃないですか。なくなっていいと思っている人、誰もいませんよ。だけどその後、何が違うかというと、『とはいったって、ほかには無駄もあるよね。まだ負担を求めるのは早いんじゃないの』という社会の思いっていうのが、難しい」

 「どんどん無人化されていくさまざまなビジネス。ファミリーレストランだって、24時間(営業が)厳しくなってきたところも出てきた。物流関係だって、ドライバー不足がどんどん出てくる。農業だって、人手がいない。思ったより早く来たぞというのが、今の時代認識に共有され始めてきたのではないかと思う。それが一つの、この議論を支えてくれる力になっているのかもしれない」

=(4)へ続く

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