自民党総裁選三選の意義 これをやらずに何をやる 敵地攻撃能力 当たり前の“自衛”がなぜできない 軍事評論家 古是三春

【正論10月号】

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現改憲案で「武力行使不能」な自衛隊の現状は改善されない

 「戦争放棄」「戦力不保持」を謳った現憲法でも自衛権は否定されていないのが定説だ。しかし、外務省は国連外交を含む対外政策の中で「自衛隊による武力行使は、憲法に大きく制約を受けているために国連PKO派遣でも任務が制約される(武力行使は出来ない)」と説明してきた。

 その一方で「駆け付け警護での任務的な武器使用(隊員個人の判断による武器の使用)」は可能という奇妙な説明も昨年からされている。

 「自衛隊が任務遂行に大きな制約を受けているのは、現憲法第九条のせいだ」と改憲・保守派を自任する人たちは声高に主張する。しかし、安倍晋三首相提案の改憲案(第九条一項「戦争放棄」、二項「戦力不保持」を維持しつつ三項を追加して自衛隊の存在を明記)で問題が根本的解決に進むとは思えない。

 安倍首相は自衛隊を明記する意義について「自衛隊は違憲かもしれないけども何かあれば命を張って守ってくれ、というのは私はあまりにも無責任なんだろうと(思う)」と述べた。もっともであり自衛隊の存在意義と役割を明確にする点では一歩前進だ。しかし、武力行使などを巡る問題の解決はまだ遠い彼方の課題として残されてしまう。

 自衛隊の武力行使については、現憲法条項を超える制約がなされ必要以上にがんじがらめにされている。これが国連PKOや多国籍部隊に参加する上で自衛隊を他国には無いような矛盾と危険に晒す要因となっている。

 さらに、国民を守るために決然と組織的に有効な対処(武力行使)をできる可能性を封じられていたことは、一九六〇~七〇年代に北朝鮮特殊部隊や工作船の犯罪的な我が領海、領土への跋扈を許し日本人拉致を抑止できなかった要因の一つだ。

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