革新投資機構、正常化急ぐも 官がリスクマネー呼び込む難しさ露呈

 田中正明前社長は昨年12月の辞任表明の記者会見で、機構の理念を示した有識者会議の報告書は「機構設立に関する“バイブル”だと考えていた」と強調。経産省の変節でこうした理念が「政府全体の方針になっていないことが次第に見えてきた」と批判した。

■消えない必要性

 リスクマネーの必要性を訴える声はいまなお強い。全国銀行協会の藤原弘治会長(みずほ銀行頭取)は、官民ファンドの意義について「リスクマネーを供給し、民間からの投融資を喚起する『呼び水効果』が期待される」と説明。ニッセイ基礎研究所の中村洋介主任研究員も「バイオテクノロジーや宇宙など民間資金が入りにくい研究開発型の案件では、官民ファンドが必要」と指摘する。

 経産省は今春にも後任社長ら民間出身の取締役を選びたい考えだ。しかし機構は「もうければ民業圧迫と責められ、損をすれば税金を毀損(きそん)したと批判される」(政府高官)という矛盾を抱えていることも明らかで、官がリスクマネーを呼び込む難しさも露呈した。

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