米強硬姿勢のおそれ 国益守れるか問われる手腕 麻生財務相

 麻生太郎財務相とムニューシン米財務長官は25日のワシントンでの会談で、貿易協議での為替の扱いを両者で議論していくことを確認した。2020年の大統領選を控え、トランプ米政権が今後、強硬に為替条項の導入を求めてくる可能性がある。導入すれば、急激な円高時に発動する為替介入政策やデフレ脱却のための金融緩和政策の手足が縛られかねず、日本は国益を守り抜く合意に導けるか、交渉手腕が問われている。

 米側が想定しているとみられるのは、北米自由貿易協定(NAFTA)を見直した「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」だ。同協定は、法的な拘束力が強い通商協定の本文に為替問題が盛り込まれた。

 日本側は今回の会談にあたり、「通商交渉と為替の話を切り離すことを強く主張する」(同行筋)姿勢でのぞんだ。政府内では環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)のように付属文書で為替に言及し、拘束力を伴わない形にするなら良いとする案も浮上していたが、今回は持ち出さなかった。

 そもそも麻生財務相には「外国為替市場は(安倍晋三政権発足時の)1ドル=80円台から(足元の)110円台まで円安に動いたが、貿易収支は動いていないし、貿易に影響しなかった」との思いがある。為替条項で日本の為替介入を難しくしても、米側が問題視する対日貿易赤字の解消にはつながらないというわけだ。

 ただ、日本には為替介入の手を完全には封じられたくないという本音もある。日本は今年3月まで88カ月(7年4カ月)連続で為替介入を行っていないが、為替相場の急変時を想定すれば、為替介入は依然として「有効なマクロ政策」(同行筋)といえるからだ。

 また日銀の「異次元」の金融緩和は円安を誘い、輸出増と企業収益の改善、株高につながった面がある。為替条項でこうした政策が制約を受ければ、政府は経済政策の手綱を米側に握られることになる。

 次回交渉は夏以降になるとみられるが、トランプ政権は米大統領選前のはっきりとした成果を求め、姿勢を強めてくる可能性がある。日本側が「国益に反する合意はしない」(同行筋)という方針をあくまで貫き通せるか、注目される。(山口暢彦、蕎麦谷里志)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ