窮地の岸田氏 菅長官急浮上で埋没の恐れ

 自民党の岸田文雄政調会長が率いる岸田派(宏池会・49人)は15日、東京都内のホテルで政治資金パーティーを開いた。岸田氏は昨年9月の総裁選で出馬を見送り、安倍晋三首相(党総裁)の連続3選を支持したが、次の総裁選には意欲を見せている。しかし、ここに来て「ポスト安倍」の有力候補に菅義偉(すが・よしひで)官房長官が急浮上し、首相からの禅譲路線に暗雲が漂い始めた。

 「令和の時代、宏池会が政治をリードできるよう努力していかなければならない。私も先頭に立って全身全霊、努力していきたい」

 あいさつに立った岸田氏はこう力を込めた。

 来賓として出席した首相も「(岸田氏とは)同期の桜だ。政調会長として党の政策立案で中心的な役割を担ってもらっている」と親密さをアピールした。

 岸田氏と首相は平成5年の初当選同期。首相は、岸田氏を後継候補の一人と期待してきた。

 岸田氏が総裁選を勝ち抜くには、首相の出身派閥の細田派(清和政策研究会・97人)や、麻生太郎副総理兼財務相が率いる麻生派(志公会・56人)などとの連携がカギになる。岸田氏も首相からの禅譲を基本路線に据え、昨年の総裁選以降、両派幹部らとの関係構築を進めてきた。

 ただ、「ポスト安倍」に向け急速に存在感を増したのが、新元号「令和」を発表した菅氏だ。4月には岸田派の古賀誠名誉会長がBS番組で「(岸田氏が)ポスト安倍でなければいけないということでない」と発言。菅氏を首相候補に挙げ、波紋を広げた。

 派内からも「今や国民の人気を見ても菅氏が上」との声が漏れる。小泉進次郎厚生労働部会長らの名も挙がるが岸田氏が存在感を発揮しているとはいい難い。

 最近の岸田氏には迷いも見える。保守分裂となった4月の福岡県知事選では、麻生氏が岸田氏に自身が推した新人候補の応援に入るよう求めたが、岸田氏は最終的に断念した。

 麻生氏は岸田派などと合流する“大宏池会構想”に積極的で、恩を売れば、次の総裁選で有利になるとの見方もあった。しかし麻生氏と対立関係にあり、知事選で現職を支援した古賀氏や幹部が反対したためだ。

 「安倍首相との関係を維持していくことが何より大事です」

 「ポスト安倍」に関する古賀氏の発言後、ある岸田派幹部は岸田氏にこう進言した。強烈なライバルを前に、いばらの道はさらに険しくなっている。(田村龍彦)

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