韓国「ブラック国」に転落!? 日本政府の輸出管理強化、背景に米国の強力バックアップも

 韓国向け半導体素材の輸出管理強化に対して文在寅(ムン・ジェイン)政権は強く反発しているが、日本政府は思いつきや報復で実行したわけではない。ドナルド・トランプ米大統領の半島戦略による強力なバックアップが存在すると指摘するのは国際投資アナリストの大原浩氏だ。日米同盟をさらに強化する一方で、韓国をいわば「ブラック国指定」する戦略で、日本人にとっても覚悟を求められる構図が浮かぶ。

 韓国に対する輸出管理の強化が話題を呼んでいる。まず大事なのは、日本政府が行ったことは「優遇措置の廃止」であって、何ら世界貿易機関(WTO)など国際貿易のルールに反するものではないことだ。

 WTOで定めたルールは、どの国にも平等に適用すべきなのが基本だが、ある一定の国を特定の条件で「優遇」したり「優遇を取りやめる」のは、本来それぞれの国の自由裁量だ。

 いわゆる「ホワイト国」は韓国を含め27カ国だ。世界には196の国連加盟国があり、非加盟国を含めれば約200あるとされる。日本がホワイト国に指定しているのは世界の国々のうち14%弱にしか過ぎない。

 レーダー照射問題、いわゆる徴用工問題などで、日本に対して不誠実な国の少なくともトップスリーに入る国が「ホワイト国」とされてきたことがむしろ政府の怠慢で、「ブラック国指定」してもおかしくない。

 日本の今回の措置は、いわゆる徴用工問題の報復措置とだけとらえると間違える。珍しく日本政府が毅然(きぜん)とした態度をとる背景には、米国の強力なバックアップがあると考えてよいだろう。

 6月29、30日にトランプ大統領が韓国を訪問した際に、文大統領が、中国という「踏み絵」を踏まなかったのは、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長との板門店(パンムンジョム)会談の際、外で待たされたことでも明らかだろう。

 米国側も、レーダー照射問題に関して謝罪をするどころか、嘘を塗り固める文政権には愛想を尽かしているようだ。

 日本による輸出管理の強化が7月4日に実行されたことを考えても、トランプ氏の訪問で韓国は、「事実上」日米との同盟国の地位を失ったと言ってよい。

 ここしばらくは、中国とイランの問題に集中せざるを得ないトランプ大統領だが、特にイラン情勢は緊迫している。合意を破って着々とウラン濃縮を始めており、これまでイランに同情的であった欧州諸国も厳しい態度をとるようになるかもしれない。そうすれば、米国も国際社会に対して「大義名分」を示してイランを攻撃できる。

 イラン問題を片付けることは北朝鮮に対する強力なプレッシャーとなり、トランプ大統領の立場もさらに優位になる。「核廃棄」に強く抵抗する北朝鮮の幹部も、イランの運命を見て考えを変えるかもしれない。

 そして、年末に向けての交渉では「北朝鮮の完全核廃棄」の交換条件が「米軍の韓国からの完全撤退」となるのではないか。そうなると、共産主義から自由社会を守る防衛線は38度線ではなく日本海となる。日本本土だけではなく沖縄や台湾も自由社会にとって重要な防衛ラインだ。

 トランプ大統領が日米安全保障条約破棄の可能性に言及したというブルームバーグの報道は波紋を呼んだが、その真意は「現在の不公平な安保条約を廃棄し、本格的な軍事同盟を新たに結んで対等な立場になろう」ということなのだ。つまり、本格的な軍事同盟の障害となっている憲法9条をさっさと改正してくれということになる。

 戦後70年を経て日本は米国の重要な同盟国の一つになった。ファシスト国家だったドイツやイタリアでさえ、国民を守る軍隊は存続させたのだから、日本から軍隊を奪ったのはやりすぎだったとトランプ大統領が考えていてもおかしくはない。

 ■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

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