日韓首脳会談当面見送りへ 徴用工訴訟で建設的な対応ない限り

 悪化する日韓関係をめぐり、政府は、いわゆる徴用工訴訟問題などで韓国側が建設的な対応を見せない限り、当面文在寅(ムン・ジェイン)大統領との日韓首脳会談には応じない方針だ。日韓請求権協定に違反する事態を一方的に作り出した韓国側の変化を待つ意向で、9月の国連総会などに文氏が出席した場合でも、現状のままなら直接対話の場を設けない。安倍晋三首相は「ボールは韓国側にある」として責任ある対応を求める姿勢を貫く。

 「国交正常化以来、最悪に近いんじゃないか」

 首相に近い官邸関係者は、出口の見えない今の日韓関係をこう語る。

 政府は、半導体材料の対韓輸出管理の厳格化に加え、8月2日にも、貿易上の優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する政令改正を閣議決定する。一方、韓国側は、日本側の対応を徴用工訴訟への経済報復と批判。日本を世界貿易機関(WTO)に提訴する準備を進めている。

 しかし、韓国側は肝心の徴用工問題について、協定に基づく仲裁委員会の設置要求に応じず、事態を収拾させる動きをみせない。

 6月には、韓国最高裁の確定判決に基づき、原告側が韓国内の日本企業の資産の現金化手続きに入ったことに関連し、韓国政府が日韓企業の出資による解決策を提案。日本側は、請求権問題を「完全かつ最終的に解決」と確認した協定違反は明白として拒否した。

 こうした不誠実な対応を受け、首相は同月28、29両日に行われた20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)で、韓国側が求めた首脳会談を「実のある話し合いはできない」(政府関係者)として拒んだ。

 今後、日韓両首脳の出席が想定される国際会議は、9月の国連総会や10月末からの東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議、11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議-がある。政府は、韓国が徴用工訴訟の解決につながる前向きな提案をしない限り、これらの場で直接対話に応じない考えだ。

 さらに、年内に中国で日中韓サミットを開く方向で調整しているが、日韓関係のあおりも受け「具体的な日程協議は進んでいない」(外務省関係者)という。

 外務省幹部は「韓国政府が『最高裁判決は尊重するが、請求権問題は協定で解決されている』との声明を出し、政治判断で解決すればいい」と語る。しかし、韓国側が応じる気配をみせないことから、対立は長期化しそうだ。

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