茂木敏充外相と河野太郎防衛相“ポスト安倍”への分かれ道… 2人に求められる「頼りがいのある安心感」

【ニュースの核心】

 第4次安倍再改造内閣には、「ポスト安倍」と目される政治家の多くが入閣している。経済再生担当相から横滑りした茂木敏充外相、外相から転じた河野太郎防衛相もそうだ。

 この内閣での働きぶりいかんで「総理への道」が切り開かれるかもしれず、2人にとっては、まさに正念場である。2人はどんな政治家なのか。まず、茂木氏からだ。

 茂木氏のツイッターをのぞくと、外相就任後の9月17日から立て続けに各国外相との会談について発信している。それ以前は、経済再生相当時の6月21日が最後なので、力の入れようがうかがえる。

 マイク・ポンペオ米国務長官との電話会談に始まり、イランやロシア、ブラジル、ドイツ、インド、韓国、中国の外相らと顔合わせに大忙しだ。英語が堪能な前任者と違って、茂木氏は日本語で話しているようだ。だからといって、英語が苦手ではない。

 ハーバード大学院に留学経験があり、英語はできる。だが、あえて公式の場で使わないのは、賢い選択である。通訳に任せている間に考える時間を稼げるからだ。日米通商協議を無難にまとめたのは茂木氏の功績だが、背景には「話は分かっているけど、相手のペースにはまらない」という、心の余裕も理由の1つではないか。

 英語が中途半端にできる人は、つい英語をしゃべって、相手の土俵に乗ってしまう場合がある。政治家は、言葉よりロジックが大事だ。言葉は通訳に任せ、交渉ごとはぜひ「茂木流」を貫いてほしい。

 一方、河野氏はどうか。

 韓国が日本の放射能汚染地図を公開し、あたかも日本が汚染されているかのような印象をばらまいている。外務省はソウルの日本大使館のホームページで、ソウルと福島などの放射線量を公開して、エセ情報に対抗した。

 この情報公開は、河野氏が外相当時に事務方に指示して、実現した。こんな「対決姿勢」こそ、河野氏の持ち味である。河野氏くらい英語が堪能だと、英語で渡り合っても、相手に調子を合わせてしまうようなヘマはしないだろう。ポストが防衛相に変わっても、思ったとおり、ズバズバやってほしい。

 茂木、河野両氏について、私が心配するのは、2人とも極めて優秀なので、もしかすると「他人がバカに見えてしまわないか」という点である。そうだとすると、それは総理を目指すのにマイナス材料になる。自分を推してくれる仲間ができないからだ。

 自民党は「ねたみとそねみと嫉妬の集団」である。自分が気が付かないうちに、相手が嫉妬している可能性も十分にある。自分が優秀であれば、なおさらだ。

 これから、どれほど他人に配慮できるかどうか、が出世の分かれ道になるのではないか。「手柄は他人に、汗かく苦労は自分に」。これを実践できるかどうか、である。

 2人の売りは優秀さだが、実はいまさら自分の優秀さをアピールする必要はない。有権者は、そんなものを国のリーダーに求めてはいない。必要なのは「頼りがいのある安心感」である。2人にはこれから、ぜひ懐の深さこそを感じさせてほしい。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

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