菅官房長官が沖縄・首里城を視察 県と連携アピールも知事サイドは警戒感

 菅義偉官房長官は21日、沖縄県を訪れ、火災で正殿など主要施設が焼失した首里城(那覇市)を視察した。沖縄のシンボルである首里城復元に向けた県との連携をアピールし、政府の取り組みに対する理解を得ることで、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反発する県民感情を和らげる狙いがある。

 「首里城は沖縄の誇りだ。被害の大きさを実感し、復元に向けて全力を尽くす決意を新たにした」。菅氏は同日午後、首里城視察後にこう述べ、再建に全力をあげる考えを改めて示した。視察には玉城デニー知事も駆けつけ、菅氏に被災状況などを説明した。

 菅氏の沖縄訪問は辺野古海域の今後の埋め立て工事を見据えたものだ。新たに軟弱地盤が見つかった北東側の埋め立て区域について、政府は今年度中にも県に設計変更を申請する方針だが、辺野古移設を認めない県は徹底抗戦する構えで、政府と県の対立激化は避けられない。

 一方、昨年9月に初当選を果たした玉城氏は2期目を見据え、「首里城再建を実績にしたいとの思惑がある」(知事周辺)とされる。辺野古移設阻止に向けた実績で決定打を欠く玉城氏にとって首里城再建はまたとない追い風だからだ。

 こうした玉城氏の期待を見透かしたように、政府は10月31日の首里城火災直後から対応に乗り出した。12月11日には菅氏をトップとする関係閣僚会議で防火対策強化などを柱とした基本方針を策定。今年度内に復興に向けた工程表を取りまとめる予定だ。政府関係者は「首里城は県と信頼関係をつくれるかどうかの試金石だ」と語る。

 ただ、玉城知事周辺は「首里城でお願いばかりすれば、辺野古(移設を)を押し込まれる」と警戒する。玉城氏は21日、菅氏が首里城視察後、記者団の取材に応じた際は同席せず、距離を置いた。首里城再建をてこに玉城氏を取り込めるかは見通せない。(大島悠亮)

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