首相記者会見詳報(1)徴用工問題「韓国側の責任で解決策示すべきだ」

 安倍晋三首相は24日、訪問先の中国四川省成都で記者会見に臨み、日韓関係の悪化を招いたいわゆる徴用工問題について「(韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領に対して)韓国側の責任で解決策を示すべきだ。日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを韓国側から作るよう求めた」と述べた。詳細は以下の通り。

 「北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射が続いています。私たち3カ国はこの状況に強い懸念を有している。本日の日中韓サミットでは、この認識で一致しました。3カ国は米朝プロセスの進展を完全に支持します。プロセスが正念場を迎える中で、さらなる挑発行動は自制すべきである。それが一致したメッセージであります。朝鮮半島の完全な非核化に向けて3カ国が協力し、それぞれができる限りの努力を行っていく、その認識を共有しました」

 「最重要課題である拉致問題については、その早期解決を目指すわが国の立場に中国、韓国から理解をいただきました。拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を目指すとのわが国の方針に変わりはありません。韓国の文在寅大統領とも北朝鮮問題に対する日韓の緊密な連携を確認しました。現在の東アジアを取り巻く厳しい安全保障環境のもとで、日韓の協力は極めて重要です。韓国は重要な隣国であります。しかしながら、国交正常化の基礎となった日韓基本条約、日韓請求権協定が守られなければ、国と国との関係は成立しない、成り立ちません」

 「文在寅大統領には、旧朝鮮半島出身労働者問題に関するわが国の立場を伝えました。国と国との約束を順守してもらわなければなりません。韓国側の責任で解決策を示すべきである。日韓関係を健全な関係に戻していくきっかけを韓国側から作るよう求めました。日中韓サミットがスタートして20年です。この枠組みのもとで経済、文化、スポーツ、幅広い分野での協力によって人々の交流はその厚みを増してきました」

 「隣国ゆえにさまざまな課題があります。そうした中でも、民間同士の交流は、途絶えることなく続いてきました。その時々の政治情勢には左右されない、分厚い交流の基盤を作り上げていく。それが、3カ国によるサミットの原点であります。本年の日中韓サミットでは、日本の経済界にも参加いただき、ビジネスサミットを開催したほか、さまざまな分野での協力を確認いたしました」

 「私たちが共有する海では、プラスチックゴミによる汚染が深刻な問題となっています。この世界的な課題に立ち向かうため、本年わが国で開催したG20(20カ国・地域)大阪サミットにおいて、2050年までに海洋プラスチックゴミによる新たな汚染をゼロとする新しいビジョンに合意しました。そして、その実現に向けた具体的な実施枠組みを設けました。大阪で合意に達した強固な基盤の上に、今回3カ国でさらなる協力を進めていくことで一致いたしました。貿易摩擦など世界的に保護主義への懸念が高まる中で、自由貿易の基本原則や、質の高いインフラ投資に関する原則など、大阪サミットで共有した諸原則の重要性についても今回改めて確認をいたしました」

 「昨日は北京において、習近平国家主席と日中首脳会談を行いました。日本と中国はこの地域と世界の平和と繁栄にともに大きな責任を有している。その点を改めて確認いたしました。そして、その責任を果たすとの意思を明確に示していく。そのことが今、現在のアジアの状況において、国際社会から求められている。そう考えています。私からは東シナ海を平和、協力、友好の海にするための努力を促しました。国際社会から高い関心が集まっている南シナ海、また、香港情勢や新疆ウイグル自治区における人権状況について話し合いました。課題があるからこそ、対話を続けなければならない。たゆまぬ交流を続けることで、国際社会の期待に応える。新時代の成熟した日中関係を構築していく考えです。明日は李克強総理と世界遺産の(四川省)都江堰を訪れます。雄大な自然のもと、経済をはじめ、日中2国間の課題、この地域のさまざまな課題について、時間をかけて話し合いたいと思います」

 「さて、年が明けるといよいよ半世紀ぶりとなる、東京オリンピック・パラリンピックが日本にやってきます。2018年の平昌、そして22年の北京、日中韓で連続してオリンピックパラリンピックが開催されることで、この地域にはかつてなく世界の関心が集まります。これを機に世界の平和と安定に向けた力強いメッセージをこの地域から発信していく。そのような大会にしたいと思います。今年も残すところ1週間です。本年は200年ぶりとなる歴史的な皇位の継承が行われました。未来への希望とともに新しい令和の時代がスタートした、大きな節目となる年となりました。来る令和2年が皆さまにとって素晴らしい年となることを、心より祈念しております。私からは以上であります」=(2)に続く

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