韓国・文大統領に“ドス”を効かせた安倍首相 「韓国政府の責任で解決策を示せ。そちらが態度を変えなければ…」

 中国・成都で開かれた日中韓サミットに合わせて、安倍晋三首相と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が24日、会談した。両首脳の正式会談は1年3カ月ぶりだ。だが、文政権の下で、凍りついた日韓関係の雪解けは、とても期待できそうにない。

 最大の懸案である、いわゆる「元徴用工」問題で、文氏が何も具体的な解決策を示さなかった点に、やる気のなさが表れている。宿題の答案がまったく書けないのに、「自分を見捨てないで」と哀願する、出来の悪い子供を相手にしているかのようだ。

 そもそも、首脳会談を望んだのは、どちらだったか。韓国側に決まっている。それは、11月にタイで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)首脳会議の際、文氏が半ば強引に安倍首相の袖を引っ張って、着座対話に持ち込んだ一件で明らかだ。

 韓国大統領府は当時、事前の合意もなかったのに、勝手に写真を撮ってマスコミにばらまいた。自分に不都合な話だったら、そんなマネをする訳がない。不意打ち対話を周到に準備し、わずか10分間の会話でも「文政権の成果」と宣伝したかったのだ。

 それと比べれば、今回は正式な首脳会談であり、準備時間も十分にある。日本側が徴用工問題を持ち出すのは明白だった。にもかかわらず、何も答えを用意していなかったのは、ほとんど当事者能力を失っているのに等しい。

 だからこそ、安倍首相は会談で「韓国政府の責任で解決策を示せ」と迫った。「そちらが態度を変えなければ、こちらは何もしないよ」と突き放したのである。

 文政権が前向きな解決策を示せるか、と言えば、それは難しい。反日を煽ってきたのは、文氏自身だ。いまさら宗旨変えしたら、肝心な求心力が失われてしまう。4月の総選挙を前に、それは絶対に避けたいはずだ。

 それでも、安倍首相に抱きつかざるを得なかったのは、自分が四面楚歌(そか)に陥っているからだ。日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄は結局、見直して延長したが、一連の迷走で米国の信頼を失い、中国からも不信を買った。北朝鮮からは、とっくにバカにされている。

 結局、日本に泣きつく以外になくなってしまったのだ。

 安倍首相はそんな文氏の苦境を見極めて今回、北朝鮮問題では逆に攻勢に出た。安倍首相は会談で「北朝鮮をはじめ安全保障問題で日韓、日米韓の連携は極めて重要だ」と強調し、文氏に異論を唱えさせなかった。大事なポイントだから、繰り返そう。日中韓ではない。日米韓だ。

 そこが中国で、しかも日中韓の会議だったことを考えれば、実に小気味がいい場面である。安倍首相は「分かってるな。オマエが中国の側に付こうとしても、簡単にはいかないぞ!」と、まさに現場で文氏にクギを刺したのだ。

 直前に行われたドナルド・トランプ米大統領との電話会談で、綿密に打ち合わせた結果に違いない。主役は安倍首相とトランプ氏だった。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務める。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。最新刊に『明日の日本を予測する技術』(講談社+α新書)がある。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ