北朝鮮の「大和堆」違法操業が深刻化 日本の漁業者苦境

 「大和堆(やまとたい)」では平成28年秋から、北朝鮮漁船の違法操業が深刻化。海上保安庁と水産庁の取り締まりに対する銃での威嚇や、投石などの抵抗も後を絶たない。一方、海域は過去にない不漁に見舞われており、日本の漁業者は深刻な状況に直面している。

 大和堆周辺では昨年、北朝鮮側のあからさまな行動が複数あった。8月、海保の巡視船を北朝鮮公船とみられる船舶が小銃で威嚇。水産庁の漁業取締船も北朝鮮海軍のような旗を掲げた小型高速艇に接近された。

 この前後、北朝鮮側は、日本側に対して、英語で領海を意味する「territorial・water(テリトリアル・ウオーター)」という用語を使い、無線で「即時退去せよ」と要求。10月には取締船の退去警告・放水を受けた北朝鮮漁船が取締船に衝突し沈没する事故も起きている。

 北朝鮮は水産業を国家防衛の「戦闘」に位置付け推進している。国民は小型の木造船で危険な遠洋操業に駆り出されている。

 秋田県の男鹿半島から西へ約400キロの日本海にある大和堆は元々、スルメイカなどの好漁場として知られ、日本各地から漁船が出漁してきた。だが、平成28年秋、多数の北朝鮮漁船の侵入が確認され、夜間に日本漁船の灯火を頼りに接近したり、漁具を破損したりして日本漁船が退避するケースも頻発した。

 その後、日本側が取り締まりを強化したものの、日本の漁業者は苦境に直面する。「全国いか釣り漁業協会」によると、昨年のイカの水揚げは11月現在で2079トン(速報値)。前年比で8割も減った。乱獲による資源量減少が原因かは分からないが、同協会は「未曾有の深刻な不漁。『このままでは、廃業になりかねない』という厳しい声があがっている」と強調する。

 日本沿岸への木造船の漂着も続く。昨年12月には新潟県の佐渡島にハングルが書かれた木造船が漂着。7体とみられる遺体が見つかった。こうした漂着船は、環境省の全額補助で処分は市町村が請け負う。30年度の補助額は7781万円。同省は「少なくない支出だ」と話す。

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