中東不安定で増す情報収集の重要性 衆参審議で野党議員「当面中止を」

 海上自衛隊の中東派遣をめぐる衆参両院での委員会審議で、野党は安全保障に精通する議員をそろえて政府の外交姿勢や派遣の法的根拠を追及した。中東情勢が緊迫化している現状での派遣に疑義を呈す議員もいたが、現状でも原油を運ぶ民間船舶は航行を続けざるを得ない。海域の情報の重要性は増しており、河野太郎防衛相は派遣の意義を改めて強調した。

 無所属の小西洋之参院議員は、米イラン対立の解消に向けた外交姿勢を批判する文脈で「外交努力をしないままに自衛隊員を危険な海域に出す。戦前の日本政府と重なるような安倍政権の姿勢に厳しく抗議する」と述べた。立憲民主党の篠原豪衆院議員は「危機的状況がまったく収まっていない。自衛隊の派遣は当面中止すべきだ」と主張した。

 年明けの米イランの対立激化以降、両氏に限らず「危険な海域への派遣」との批判が目立つ。しかし、日本は経済・国民生活に欠かせない原油輸入のおよそ9割を中東に依存。自衛隊派遣の有無にかかわらず、年間3千隻を超える日本関係の民間船舶が「丸腰」でホルムズ海峡やオマーン湾を航行している。

 情勢が不安定化し、日本船主協会など業界側からの情報収集ニーズは高まっており、シーレーン(海上交通路)の安全確保に向けた努力は政府の責務といえる。17日の両院の審議で、河野氏は「日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集態勢は、緊張の高まりを踏まえると必要だ」と繰り返した。また、複数の与野党議員が指摘したように海自の護衛艦が「いざとなれば駆け付けられる」状況でいることは民間船舶の安心感にもつながる。

 とはいえ、防衛省設置法の「調査・研究」に基づく今回の情報収集活動では正当防衛でしか武器が使えず、民間船舶防護のために一定の武器使用ができる海上警備行動に切り替えたとしても制約は多い。

 自衛隊幹部は「不安定な海域で活動するには(武器使用などの)権限が足りない」とした上で、「不安定だからこそ民間船舶を自衛隊が守らないのは無責任だ」と語った。(田中一世)

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