政府、「緊急事態宣言」の再発令になぜ消極的か

 東京都を中心に新型コロナウイルスの感染が拡大傾向にあるが、政府は現時点で緊急事態宣言の再発令には消極的だ。医療提供体制に余裕があるためと説明している。感染リスクはゼロにならないため、リスクを制御しながら段階的に社会経済活動のレベルを引き上げていくことが基本方針だ。(沢田大典)

 菅義偉官房長官は13日の記者会見で、「直ちに緊急事態宣言を発出する状況に該当するとは考えていない」と重ねて述べた。医療提供体制について「入院患者数は増加傾向にあるものの、(東京の)重症者数は5人など、逼迫している状況にはない」とも語った。

 22日から行う観光などの需要喚起策「Go Toキャンペーン」も利用者や事業者に感染防止の徹底を求めながら進める方針だ。

 緊急事態宣言下の全国的な休業や外出の自粛は、経済への打撃が大きかった。政府関係者は「感染リスクがゼロにはならない以上、感染防止策を講じながら経済を動かすしかない。そうしないと、かえって生活苦で自殺者が増えかねない」と説明する。

 政府は宣言を再発令する数字の根拠を明示していない。4月に発令した際は(1)直近1週間の新規感染者が人口10万人当たり5人以上(2)感染者が2倍になる倍加時間が10日以内(3)感染経路が不明の症例が50%以上-が目安だった。(1)を都に当てはめると1日当たりの新規感染者は約100人だ。

 政府関係者は「PCR検査の数が違う。入院と重症者の数をみている。感染爆発の兆候があれば宣言を躊躇しないが、まだその時ではない」と語った。

 感染は20~30代で無症状が多い。ただ、家庭や職場などを通じ、知らない間に重症化リスクの高い中高年や基礎疾患を持つ人に感染すれば、医療現場はたちまちパンクしかねない。

 立憲民主党の枝野幸男代表は12日、東京を中心に宣言を再発令するよう求め「感染が拡大すれば政治の不作為による失敗ということになる」と挑発した。

 5月に宣言を解除した際、政府の基本的対処方針は解除の目安について、PCR検査の実施状況などを踏まえつつ「直近1週間の累積報告数が10万人あたり0・5人程度以下」などとしていた。東京では1週間当たり約70人という極めて厳しい数字だ。野党は「政府は解除できなくなるから再発令したくないのでは」との見方を示す。

 再発令の場合は、PCR検査態勢の拡充を踏まえ、解除の目安が変更されることもありそうだ。

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