長州正論懇話会 河野克俊氏講演詳報「国家の基本である国防は正面から議論を」

 中国は長期的な脅威だが、短期的には北朝鮮問題の深刻度合いが高まっている。ミサイル発射や核実験を繰り返していた平成29年当時、具体的な根拠は申し上げられないが、戦争になる確率が5割以上と思った時期もあった。それぐらい、危機を身近に感じていた。イージスアショア(地上配備型迎撃システム)の導入に向けた検討は、そんな中で進められていた。

 当時は、国民の危機感も強く、導入に大きな反対はなかった。結局、ブースター(推進装置)の問題で導入は中止になった。安倍政権はそれに代わり、敵基地攻撃能力の保有を含めた検討を始めるとした。

 盾と矛のコンビネーションで守ることは効率的で、検討に値する。しかし、イージスアショアの導入断念に賛成する国民世論の下、敵基地攻撃能力の議論には膨大な政治的エネルギーが必要だ。生半可な決意ではできない。政治家の強いリーダーシップが必要だ。

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 盾と矛の議論は結局、憲法9条の話に行きつく。冷戦時代は、ソ連の北海道侵攻を念頭に、盾役の自衛隊が踏ん張っている間に、ソ連軍の基地を矛役の米軍がたたくという役割分担をしていた。しかし、今のようなミサイル時代に、この盾と矛の議論は通用しない。

 また、攻撃は一切やらないと首尾一貫するのではなく、結局は米軍にやらせている。欺瞞だ。こんな品格がない憲法ではだめだ。

 防衛力、軍隊というものは国家の基本だ。これを宙ぶらりの状況にしておくことは、国のあり方としておかしい。

 憲法議論では、「差別される自衛官の子供がかわいそう」という改憲論がある一方、「大多数の国民が自衛隊を認められているから、いいんじゃないか」という護憲論もある。このような「かわいそう改憲」や「いいんじゃないか護憲」ではだめだ。

 また、改憲は単に日米同盟を強化するために必要なものでもない。国家のあり方の問題として、正面から議論すべきだ。

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