日韓首脳の初会談、関係悪化の影「あの人と長く話しても…」

 菅義偉内閣発足後、初の日韓首脳による電話会談について、同席した岡田直樹官房副長官は「淡々とした雰囲気の中で行われた」と述べた。首脳会談の雰囲気を問われれば「和気藹々とした」「打ち解けた雰囲気で…」などとアピールするのが通例であることを考えれば、岡田氏の発言は異例といえる。

 背景にあるのは、安倍晋三内閣から続く日韓関係の悪化だ。

 その原因となった韓国最高裁のいわゆる徴用工判決をめぐり、日本政府は昭和40年の日韓請求権協定で「完全かつ最終的」な解決を確認しているため、被告となっている日本製鉄(旧新日鉄住金)の韓国国内の資産が売却されれば報復措置に出る構えだ。政府高官は「向こう(韓国)が電話会談をやるっていうのなら応じるけど、ボールはあちらにある」と話す。

 菅首相自身も官房長官時代は韓国政府に対して強い姿勢を示してきた。今年7月に韓国国内で慰安婦像にひざまずき謝罪する安倍前首相を模した像が設置された際は「日韓関係に決定的な影響を与える」と批判した。

 ただ、首相は24日の会談で、韓国について「極めて重要な隣国」と表現した。安倍内閣では今年5月、外交青書で「重要な隣国」との表現が3年ぶりに復活したが、首相はこれに「極めて」と付け加えることで一定の配慮を見せた。

 北朝鮮問題で韓国と連携する必要があるほか、首相が重視するインバウンド(訪日外国人)を今後回復させるためには日韓関係をある程度安定させなければならない。外務省幹部は「極めて重要な隣国」との表現について「首相の気持ちじゃないですかね…」と語った。

 ただ、徴用工問題で日本側に譲歩の余地はない。自民党総裁選でも日韓関係の改善はほとんどテーマにならず、韓国に厳しい姿勢で臨む安倍政権の方針の維持は自民党内でもコンセンサスとなっている。

 「あの人(文氏)と長くしゃべっても仕方ない」

 政府高官は24日、文政権をこう突き放した。(児玉佳子、原川貴郎)

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