ギリシャで、難民の子どもの学校受け入れ強化へ【プレスリリース】

公益財団法人日本ユニセフ協会
学齢期の子どもの2/3が学校通えず、平均2年半の教育の機会を喪失

[画像1: https://prtimes.jp/i/5176/1007/resize/d5176-1007-238474-0.jpg ]

【2017年9月11日 アテネ 発】
今日新学年度を迎えたギリシャの学校では、昨年4月以来国内に足止めされている難民・移民の子どもたちをより多く受け入れます。

ユニセフの支援のもとギリシャ教育・研究・宗教省が行っている、1人でも多くの子どもを学校に受け入れるための多大な努力は、難民・移民の子どもたちをギリシャ社会に統合し、この国に住むすべての子どもたちが基本的な教育を受ける権利を実現するために大変重要なステップと見なされています。

「ギリシャにいる子どもたちは、教育を受けられなければ、彼らの国や経済に貢献するために必要な技能を習得することもできず、さらなる疎外の危険にさらされ、その世代全体が失われることになります。人生が停止した状態にある子どもたちが学校に通い、ギリシャの子どもたちと触れ合い・仲良くなることは、もういちど彼ら自身の未来を築く手助けになるのです」とユニセフ・ギリシャ事務所の難民・移民支援調整官ローラン・シャピュイは述べました。「それは、難民・移民の子どもたちの精神衛生や心理社会的な健全性において重要であるだけでなく、子どもたちの発達を再活性化し、不安定な状態に置かれた生活の中で安定感を取り戻させることができるのです」

「私たちは、ギリシャ政府による難民・移民の子どもたちを学校に受け入れるための寛大な計画と惜しみない努力を称賛します」とギリシャユニセフ協会代表Sofia Tzitzikouは語りました。教育省は公立学校の門戸を開き、仮設住居や都市部に住む子どもたちのための受け入れクラスを設置し、1人でも多くの難民・移民の子どもを受け入れられるように取り組んでいます。

「難民・移民の子どもたちをギリシャの学校で受け入れることは、ギリシャの子どもたちにとっても良いことなのです。多文化的な平和で思いやりのある環境で学ぶだけではなく、すべての子どもたちがギリシャの子どもたちと同じように、就学前にすべての予防接種を受けます」とTzitzikouは語りました。「教育省と保健省は、受け入れクラスを開始する前に、義務づけられた予防接種と健康診断を確実に子どもたちに受けさせるために、連携を取っています。就学した難民・移民の子どもたちは、ギリシャ語の習得を加速するために集中的なギリシャ語の学習支援を受けます」

国を離れた多くの人々にとって、その主な理由が子どもに良い教育を受けさせるというものであったのにも関わらず、留め置かれている子どもたちを学校に通わせるには大きな障害がありました。子どもたちの中には、移動していた2年半もの間、教育を受けられなかった子もいます。今でも、1万2,000人の学齢期の子どものうち、公式教育を受けられているのは3分の1未満です。言語の障壁、制度の受容能力、ストレスやトラウマを原因とした集中力の低下や高い中退率、そしてヨーロッパの他の地域への移動を希望している多くの人々によるギリシャ語を学ぶことへの抵抗などが、これまで子どもたちが学校に通えなかった理由として挙げられます。

ユニセフは欧州連合とドイツ政府の支援を受け、ギリシャ政府と協力して、子どもたちを学校に受け入れるために、コミュニケーション、通訳、教員研修、宿題支援、幼児教育および学校に通っていない子どもや第三国定住の移動を予定している子どもたちに対する非公式教育などの活動を行っています。

[画像2: https://prtimes.jp/i/5176/1007/resize/d5176-1007-290141-1.jpg ]

難民・移民の子どもたちをギリシャの教育制度に統合することは、社会の一体性に対して長期的に良い影響を与えるのに加えて、ギリシャの子どもたちおよび受け入れ地域にとっても目に見える形で有益です。例えば、受け入れクラスの教員として、700人近くが新たに採用されます。

「学年度が開始して初めて、学習する子どもの正確な数がわかりますが、わかっているのは、ひとりの子どもも教育が受けられない状態に放置されてはいけない、ということです。子どもたちに教育の機会を与えるということは、今まで教育を受けられなかった子どもたちだけではなく、ギリシャ社会全体の今と未来にも恩恵があるのです」(Tzitzikou)

* * *

ユニセフは、すべての政府に対して、難民・移民の子どもたちを保護するための6つの具体的な行動を提示したアジェンダの適用を引き続き求めています。アジェンダが掲げる行動目標には以下が含まれます:

子どもの難民・移民、特におとなの同伴者のいない子どもたちを、搾取や暴力から保護すること
問題解決につながる様々な代替策を提示することによって、難民認定や移住を求める子どもたちの拘留を終わらせること
子どもを保護し、法的身分を与えるための最善の方法として、家族が一緒にいられるようにすること
すべての難民・移民の子どもたちに、学び続けられる機会と、保健やその他の質の高いサービスへのアクセスを提供すること
大規模な難民・移民問題を引き起こしている根本原因に対処する行動を、強く求めること
難民・移民が通過する国々や目的地の国々において、外国人に対する嫌悪、差別、社会的排除と闘う対策を促すこと

■ギリシャの難民・移民の子どもに関するデータ:
ギリシャの公式教育制度と難民・移民の子どもについて(2017年6月時点)

学齢期(6~17歳)の子どもの数:1万2,000人
2016~2017年に公式教育を受けた子ども(6~17歳)の数:約3,500人(全体1万2,000人の29%)
難民・移民の子どもたちは、紛争、暴力や避難生活のために平均して2.5年間の教育機会を失っている
教育省の現在の難民教育プログラムの対象が15歳までとなっているため、特に16歳以上の子どもたちの教育の機会が限定されている

保護施設に暮らすおとなの同伴者のいない、あるいは離ればなれになった子どもについて
(ユニセフ他パートナー団体による調査報告書Access to formal education for unaccompanied children in shelters(2017年5月)に基づく。 https://www.unicef.org/eca/FINAL_ENGLISH_VERSION.PDF

ギリシャ全土の54の保護施設に暮らす、おとなの同伴のない子どもの数:推定1,180人
保護施設に暮らすおとなの同伴者のいないあるいは離ればなれになった子どものうち44%が学校・公式教育を受けているが、56%は学校に通っていない。就学率は子どもの年齢および国籍により異なる

* * *

■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。(www.unicef.or.jp)

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ