専門職大学に関するアンケート調査。高校教員に聞いた、まもなくスタートする「専門職大学」制度への期待と懸念

 株式会社さんぽう
“ポイントは他の教育機関との差別化。64.0%が「専門学校との違いが分からない」”

 高校生向けに大学・短期大学・専門学校等に関する進路情報を提供する、株式会社さんぽう(本社:東京都渋谷区/代表取締役社長:渡邉王雄)は、文部科学省が2019年度の創設に向けて制度化を進めている「専門職大学」について、高校教員にどう受けとめられているのか、また現段階で期待される点や懸念される点を探るため、「専門職大学に関するアンケート」を実施しましたので、その結果をご報告いたします。当社は同様のアンケートを2016年6月にも実施し、高校教育現場における専門職大学制度の認知度合について経年調査しています。

 認知度は上昇傾向にある一方で、48.8%が「名称だけは知っている」に留まる結果に。

 専門職大学の創設について、48.8%が「名称だけは知っている」と回答しました。前回の調査では48.3%だったため、この層に関して大きな動きは見られませんでした。一方、「全く知らない」と回答したのは7.6%で前回調査の26.7%から大きく減少しています。さらに、「概ね知っている」と回答したのが24.4%から41.1%に上昇している現状を踏まえると、専門職大学の創設に関する情報が教育現場に広がりつつあることがうかがえます。
 しかし、専門職大学は2019年度に開学を控え、現高校3年生が入学対象となります。いまだ半数以上がその制度の内容まで認知していない状況に加え、「よく知っている」と回答した教員はわずか2.4%に留まっていることから、具体的な情報提供を含むさらなる広報活動が急務だと言えるでしょう。
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 制度化に期待するのは20.4%。「分からない(63.3%)」と回答した教員への情報提供が鍵。

 目立ったのは多くの教員が専門職大学創設への期待を「分からない(63.3%)」と回答したことです。問1の結果を引きずり、制度の内容について知らないとする声を反映する結果となりました。「あまり期待しない」「期待しない」を合わせると16.4%、「大いに期待する」「期待する」は20.4%だったので、現時点では制度に期待する教員がやや多くなっています。しかし、2016年度調査の「制度化への賛否」と同様、情報不足のために「分からない」と回答した教員に対して、その制度内容や認可申請校の概要を周知することが今後の期待値を左右するでしょう。
 対して、一般社団法人日本経済団体連合会が実施した『高等教育に関するアンケート調査』によると、「大いに期待する」「期待する」が約6割となり、半数以上が専門職大学に注目・期待している結果となっています。一方、「分からない(25.9%)」と回答した割合も高いことから、専門職大学に関する制度や既存の大学・短期大学、専門学校との違いについて明確化を求める声があるのは、企業側も同様であると推測できます(『高等教育に関するアンケート結果』、一般社団法人日本経済団体連合会、2018、p.13-14)。
 当社アンケートでは、「制度化の意義がわからない」、「大学・短期大学、専門学校との違いが分からない」という意見が多かったため、文部科学省や関係機関は高校教育現場で不足していると考えられる情報を意識した広報活動が求められます。
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 【制度化に期待する理由 記述回答抜粋】

 学士が得られるのが大きい。
県内に進学できる大学が増えるため。
進路の多様化に対応していくため。
大学の個性が出て、高校生の進路選択が容易になるから。
技術職的なもので大学となることで生徒の選択肢が増える。
専門学校との差別化を図ることで、進路選択の幅が広がるため。
最先端分野、大学にない分野で活躍する人材育成。
これから専門的な知識や技術を身に付けた人材がますます必要になるから。
一般教養を身に付けた上で専門技能にも長けた人材となれるため。
社会や技術の変化に対応していけるように、新しい学校制度に期待しています。
4年間という長い期間で専門技術や知識を、広く深く勉強させてもらえると思ったから。
学問的色彩が強い教育よりも実践的な技術を身につける方が向いている生徒もいるため。
教育機関と産業界が深く手を結ぶことで、より高度な知識を有した人材を育成できるから。

 【制度化に期待しない理由 記述回答抜粋】

 大学は学問の場所。資格のためではない。
大学との違いが良く分からない。子どもの数が減っているのに学校が多すぎる。
専門学校との違いがわからない。結局あまり広がらないのではないか。
専門学校の大学化につながり、学費が高くなる懸念があるため。
大学や専門学校で十分だと思っているから。
周知されていない。文科省とそれ以外の機関のコンセンサスがとれていない。
負担する費用(学費等)と卒業後の進路を考えると効果に期待できない。
教育内容の変化が期待できないから。
社会にそのニーズがあるのか不明確だから。
従来の専門性を卒業に必要な単位の3~4割を実習とすると、学ぶ時間数が少なくなるから。
設置数が少ないということは、あまり魅力がないのでは。
4年も学校に留めておくより、現場で実践させる方がいいのではないかと考えます。「大学」にすることで学生にメリットはあるのでしょうか。
4年間の専門学校+学士である意外に大学にする意義が感じられない。IT分野として地方創生の一環に繋がるかもしれないが、それは学生にとってではなく、地方と大学にとってのメリット。生徒目線からすると、4年間の専門学校に進学するイメージ。

 【分からない理由 記述回答抜粋】

 情報量が不足していて判断ができない。
具体的な教育内容が分からないから。
今後の世の移り行き次第で評価が動くため。
どの程度、就職や資格取得に影響が出るかわからないから。
高校生の進学先として、どのような位置づけになるのか説明が不十分。
実際に開学して2年くらい経って、学生や企業までの評判が出てみないと良く分からないと言うのが正直なところ。
企業側からのニーズ、求める人材像がよくわからない。
内容について知ってはいるが、卒業後の位置づけがよくわからない。
専門的に技術を身につけ、その技術を生かす就職であるなら、4年間の大卒の資格は必要なのか。また、待遇などに何か差は出るのか。

 求めるのは就職力。「高度な職業教育」・「高い就職率」に期待する声が多数。

 「高度な職業教育」が58.8%、「高い就職率」が47.1%と、就職に直結する取り組みの充実を期待する声が目立つ結果となりました。専門職大学は実践的な職業教育を行う高等教育機関であることを制度創設の理念に掲げている関係から、そこで学ぶ専門的な知識や技術が就職につながるものであることを望んでいる様子がうかがえます。
 前回の結果と比較すると、1位から4位の「高度な職業教育」・「高い就職率」・「学費の安さ」・「進路選択の幅が広がること」までは同順位、約2割程度だった「充実したカリキュラム」と「資格取得支援制度」が3割近い回答率となりました。また、「専門学校による参入(4.9%→9.6%)」を求める声が増えた一方で、「既存大学・短期大学からの転換(14.2%→8.5%)」への期待度は下がりました。これは、既存の大学・短期大学がもつ学部・学科の一部を改組してつくる「専門職学科」制度の実現が影響していると考えられます。こちらの回答率は10.9%でした(2018年度調査で新設)。
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 既存の学校種との違いを明確に示すことができるかが課題。生徒や保護者への進路指導に影響も。

 「専門学校との違いがわからない」が64.0%、「既存の大学・短期大学との違いがわからない」が47.6%と、前回の調査同様、高い回答率となりました。この違いが明確にならないと生徒や保護者に薦められないとの意見もあることから、専門職大学制度の普及にはこの疑問を解消することが鍵になりそうです。高校教育改革・大学教育改革・大学入学者選抜改革の三位一体の高大接続システム改革が進むなか、生徒や保護者が理解しなければならない情報が多く、混乱を招くことを懸念する声もあがりました。前回調査との比較では、1位から8位までの「専門学校との違いがわからない」・「既存の大学・短大との違いがわからない」・「生徒や保護者が理解できるか」・「就職先や就職率」・「学費」・「高等専門学校との違いがわからない」・「教授陣・講師陣の確保」・「入試制度」までが同順位であったことから、前回調査からの懸念はいまだ払拭されていないと考えられます。

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 学びの内容について知りたい声が多数。現場は大学・短大、専門学校との明確な違いを把握したい。

 回答者の51.0%が「カリキュラム」を選択しています。既存の大学・短期大学、専門学校の学びと専門職大学のそれは具体的にどのような点で異なるのか、その内容を知りたいという声が多くあがりました。入試制度も同様に約半数の回答者が選択しています。入試対策にも関わる重要項目になるため、早めの情報提供を求める現場の声は当然と言えるでしょう。また、大学入試改革が進むなかで、専門職大学はどのような入試制度を導入するのか注目されているとも考えられます。
 一方で、専門職大学制度の特徴でもある実践的な教育に関わる「実務実習先」は15.2%、「実務家教員陣」は9.8%と比較的少ない回答率でした。
 カリキュラムや入試制度等の詳細については、認可の申請が下りたのちに募集要項等で発表されることが予想されるため、開学初年度の入学対象である現高校3年生が専門職大学への進学を検討する場合には、より早い決断が求められます(審査結果の発表は2018年8月頃)。
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 進路希望調査等で選択肢のひとつに「加えている」高校はわずか6.0%という結果に。

 専門職大学を進路希望調査等で選択肢のひとつに「加えている」高校は6.0%、「加えていない」は60.6%、「検討中」が33.4%という結果でした。専門職大学に関する情報が教育現場にまで行き届いていないことが、選択肢のひとつに加えられない大きな要因として考えられます。約3割が「検討中」であることから、今後進学先として検討対象になるかは募集要項の公表や認可申請校による広報活動がポイントになってくるでしょう。ただし、高校3年生の夏休み前までに受験校を決定する傾向にあるため、既存の学校種より魅力をもった高等教育機関であることを強くアピールすることが求められます。

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 専門職大学についての意見や要望、疑問点などより(抜粋)。

 【専門職大学制度を支持する意見】

 アカデミック教育の大学とプロフェッショナル教育の専門職大学は目標が明確でわかりやすい制度だと思います。
専門学校や高専とは違った特色をもった教育で職業人を育成していただきたいです。
三位一体の改革のゴールの1つになると思います。
実践的な能力の高い専門職業人の養成に有効。
目的不明な大学進学希望者の受け皿になり得ると思う。
医療系の選択肢の1つになるのではないかと考えられる。
生徒たちにとって進路の幅が広がることは良いことだと思います。

 【専門職大学制度そのものへの意見・要望・疑問】

 「専門職大学」を新設する理由や必要性がよくわからない。
少子化時代、大学・短期大学・専門学校の経営が厳しいといわれる今、なぜこの「大学」を加える必要があるのか。盛り上がりにかける部分も気になるので、学費が国立私大より安いとか、企業からの奨学金が充実していて学生生活でお金に困らないとか、何か目玉になる売りが必要だと考えます。
学費に苦しむ生徒が多いなか、専門職大学は本当に必要なのか。高卒で就職する者を支援する方法はないのか。
実務重視であるならば「大学」の名称は適切ではないように思う。研究機関としての機能を持たないなら専門学校で十分ではと思う。
ドイツの様なマイスター制を目指すならば、国が積極的に関与してその質の担保を図るべきだが、現行では専門学校の大学化、もしくは人が集まらない大学の専門学校化にしかみえない。大学であれ、専門学校であれ、レベルにかかわらず質の高い教育をしている所がきちんと評価され認知されれば、専門職大学という枠を作る必要があるのか疑問である。
社会的認知度が高まらない。設置認可申請校が少ない。社会的評価の定義が不明瞭。
校種が多様化することにより、かえってわかりづらくなっている。大学や専門学校との違い(何が良くて、何が悪いのか)を明確にしてほしい。

 【専門職大学で行う教育への意見・要望・疑問】

 どの分野の専門職大学を設置するのか。現代の成長分野を想定しているようですが、ある程度の分野に特化してほしい。また、卒業後の収入に関して確実に保証されるものであってほしい。
4年間で600時間が企業での実習にあてられているが、職場体験やアルバイトのような職務内容になっては意味がないと考えます。忙しい会社組織の中で指導される人がいるのかどうかが疑問です。
実習を受け入れてくれる企業が数多くあるのか不明。ともかく実績をみないと生徒へすすめることは困難。
学士が与えられるようだが、カリキュラムはきちんと実施されるのか。指導する人材の確保と態勢の整備ができているのか。
専門職大学の設置をめざす学校法人側が、どのような人材育成を目指そうと考え、そのためにどのようなカリキュラムをつくるのかよくわからない。

 【既存の学校種との違いに関する意見・要望・疑問】

 現在、数校の説明を聞いていますが、既存の大学との違い、専門学校との違いなどが明確でない(担当者がそれを言えてない)。その情報を高校が生徒や保護者に伝えきれるかが不安。
既存の大学、専門学校、またポリテクとの違いがよくわからない。大学も実学に力を入れているところも増えている。それらと、どう差別化をはかることができるのか疑問。
既存の大学・短大・専門学校等とどこが違い、何が専門職大学のメリットなのかが良く分からない。
医療・福祉系の資格が取得できる既存の大学・短大との違いや、設立の意義がいま一つ不明瞭でした。むしろ、専門学校の形をあえて維持することの方が、需要があるように思えます。
生徒が志望したいと思う大学や学部等と取得できる資格などがどのようになっているか。

 【情報不足に関する意見・要望・疑問】

 いまだ不透明な部分が多く、生徒や保護者への周知が困難という現状にあると思われます。学歴がどうなるか、企業における認知度や評価の面が不安です。
教員だけでなく生徒・保護者に対して認知度を上げる取り組みが必要だと思います。こちらがすすめても、知らない生徒・保護者も多いので実際に選ばれづらいという点があります。
現状では成功するイメージが持てない。政策レベルで変革を引き起こす覚悟が政府になければ生徒にすすめられない。
生徒、保護者にどのように伝えるか。そして、その選択でどの方向へのキャリアプランが考えられるか。
専門学校との違い、大学との違いなど、これまでの上級学校における位置づけの中でどう説明したらよいのか迷うところです。また、メリット・デメリット等を詳しく知りたいです。
具体的なカリキュラムや就職先を知りたいです。
現在の情報量では進路の選択肢にはとても入れられません。高等学校に更なる情報提供があると望ましいです。
これまで推薦で進学していた生徒について、専門職大学化することで難易度が上がってAO入試で進学できなくなったり、指定校推薦がなくなったりすると、本校にとっては痛手です。認可前に知ることができないので困っています。

 【現行の学校制度に対する意見・要望・疑問】

 専門職大学の創設をきっかけに、日本中の大学・短期大学・専門学校の数を見直す必要があると思います。少子化に対応すべき。
既存の大学(定員割れ・教員不足・質の低い学習)を精選しつつ、数を減らす必要がある。
まずは既存の大学の諸問題(学力低下、定員割れ、二極化等々)を解決するのが先。専門職大学をつくれば、それらの問題が拡大することはあっても解決することはない。

 【企業(就職)との接続に関する意見・要望・疑問】

 企業での長期実習を行うとあるが、効果的な実習を提供してくれる企業があるのか不安である。社会人が仕事をしながら大学院に通うことは考えられるが、高校から直接入学した生徒についてはイメージできない
企業が必要としているのか。卒業生が専門卒や大卒と異なる人材になるだろうか。
企業の受け入れ体制がどうなっているのか。たとえば、大学卒と専門職大学卒とで差があるのか。
企業側が卒業生を受け入れるつもりでいるのか知りたい(求人対象になるのか)。また、既存の4年制大学の卒業生と給与等で同じ扱いをしてもらえるのか。

 【今後の動向に関する意見・要望・疑問】

 何校くらいが専門学校から専門職大学へ移行するのか。
認可申請中の学校が教授スタッフをどのように確保しているのか、しようとしているのか。今後、どのような学校が認可申請をする予定か。
当地(当校)は地元志向が強く、近隣に設置されないと注目されにくい。
今後、全体像がはっきりしてくれば選択肢として考えなくてはならない。具体的な情報がほしい。また、将来的にどう展開していくのかも知りたい。
ファッションや医療だけでなく、どの程度まで幅広い分野で設立できるのか期待しているが、専門学校で十分といった認識がある限り、発展はそれほど望めないのかもしれない。

 <調査報告書の完全版は以下からダウンロードできます>
https://prtimes.jp/a/?f=d4505-20180517-1852.pdf

 【調査概要】
調査方法:FAXによる配付・返信
調査対象:高等学校進路指導部 延べ5,076件(全日制・定時制・通信制・サポート校など)
調査時期:2018年4月7日~5月11日
回答枚数:741枚(回答率14.6%)

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