【調査発表】多様性のあるチームは成果が上がる?それとも下がる?会社員351名の声を調査「多様性が高いチーム」の実態調査結果を発表

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ

 株式会社リクルートマネジメントソリューションズ(本社:東京都品川区、代表取締役社長:藤島 敬太郎)組織行動研究所は、従業員規模300名以上の企業において、20~50代の会社員351名に「チームにおける多様性経験に関する実態調査」を実施し、「多様性が高いチームは成果をあげているのか」など、調査結果から見える実態について公表しました。 詳細は1月16日に公表した当社Webサイトの調査レポート(https://www.recruit-ms.co.jp/issue/inquiry_report/0000000816/)からもご参照いただけます。

1.調査実施の背景

 現在、職場では、グローバル化・女性の社会進出・ミレニアル世代の影響により、国籍、性別、年齢などの表層の多様性だけでなく、価値観や志向、スキル・経験などが多様なメンバーと共同する機会が増加しています。多様性は、うまく働けばチームの成果や創造性に良い結果をもたらしますが、軋轢や衝突、遠慮が重なれば悪影響を及ぼす可能性もあります。多くの職場ではチーム単位で業務を遂行するため、各チームではその多様なメンバーを活かし合いながら、成果を上げていかなければならない状況です。

 こういった状況にある今、日本企業のチームにおける多様性経験の実態を明らかにしつつ、多様性のあるチームをうまくマネジメントし、成果や創造性につなげるためにはどうすればいいかについて、分析・考察しました。

2.結果のポイント

 ●「多様性が高いチーム」の“多様性”は、「年齢層の幅が広い」「保有知識やスキルのレベルにバラつきが大きい」という傾向がある【図表3】

 職務系統別に特徴があり、営業職では勤務地が、サービス職では勤務地・勤務形態・雇用形態・専門性が、事務と技術においては専門性が多様である傾向が強い。

●多様性が高いチームのうち45.0%が、業務・人間関係が共に良好

 多様性が高いチームの業務・人間関係がうまくいっているかについては、職務系統別にはいずれも「共に良好」が最も選ばれた。その中でも、営業職では「業務推進状況に問題があるが、チーム内の人間関係は良好である」という回答が他より多く、サービス職では「業務推進状況は良好であるが、チーム内の人間関係に問題がある」という回答が他より多い傾向があった。【図表5】

●チームの成果とポジティブな関係がある多様性の種類は、「性別」「専門性」、

 ネガティブな関係がある多様性の種類は「勤務地」「知識・スキルレベル」【図表6-1.】

●多様性が高いチームのうち8割以上が「助け合いながら仕事を進めている」「メンバーは、チームで成果

 をあげることに貢献しようとしている」一方で、約7割が「チームのメンバーには心身に疲れが見られ

 る」という結果も【図表7】

 ●チームをうまく進めていく上で障害となる多様性の特徴は、「知識・スキルレベル」が最多で33%、

 続いて「価値観」28.2%、「年齢層」21.7%という結果に【図表8】

●多様性が高くてよかったことは「異なる意見によってチームの成果があがる」「刺激がある」「楽しい」

 【図表10】

3.組織行動研究所のコメント

 ■チームの多様性の種類や程度はさまざま、それによって成果や影響も異なる

 リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所

 主任研究員 藤村直子

 一言で「多様性」といっても、その種類や程度はさまざまです。程度の感じ方も、人によって違います。年齢・性別・国籍などの属性や役職・立場の違いなど、限定的なものではなく、幅広い多様性について、一般的な日本の会社におけるチームの実態がどうなっているのか、意外とよくわかっていません。そこで、本調査では、日本の会社員が所属している職場・チーム・プロジェクトは、どのような多様性の種類がどの程度あるのか、本人の認知を通じて、その実態を明らかにすることを目的に調査を実施しました。

 実際に、多様性の種類や程度はさまざまであること、種類によってチームの成果やプロセスに及ぼす影響が異なることが示唆されました。多様であることで苦労したことも多い反面、その状況を楽しんでいるような声も感じとることができました。限られたデータではありますが、本調査が、チームの多様性を考える上で、少しでも参考になれば幸いです。

■多様性をうまく生かすことがチームの力に

 リクルートマネジメントソリューションズ組織行動研究所

 所長 古野庸一

 近年、チームが注目されています。それは、従来のやり方ではチームがうまく機能しないことを反映しています。

 従来と比べると、メンバーの多様性と専門性が増しており、成果を上げるためには、コミュニケーションに時間をかける必要があります。

 多様性をうまく生かせば、ミスを防ぎ、より創造的な成果が得られます。そのために、チーム内での心理的安全性を確保し、自由に発言できる場をつくっていくことが求められます。そのことは、単に創造性や学習に寄与するだけでなく、メンバーの満足度につながります。会議の場での発言を促すのが難しいのであれば、メンバーとの1対1の対話を通して、メンバーのバックグランドを把握し、会議の場での発言につなげていくような仕掛けが必要です。

 チームの良さは、それぞれの強みを生かし、弱みを補強し、他者を励まし、誰かの頑張りに刺激され、互いに切磋琢磨して、成長していくところにあります。そのことは、現代において、ますます求められていると言えるでしょう。

4. 調査結果

●「メンバーの多様性が高いチーム」とは

 ・「現在あなたが所属している職場・チーム・プロジェクト(以下、チーム)のうち、メンバーの多様性が最も高いと思うチームを1つ思い浮かべてください。多様性の種類(年齢、国籍、雇用形態、勤務先企業、経歴、価値観など)は問いません。」という質問への回答から導き出された多様なチームは、人数としては5-10名、11-20名が多く、期間は3年以上が過半数で、定常的な組織であることが分かりました。

 ・職務系統別に見ると、営業は定常的な組織が多く、技術は期間限定、複数の部署・職種の人が集まるものが多い結果となりました。

 ・回答者が想起した「多様性が最も高いチーム」とは、どのような多様性がどの程度ある状態なのか、10の多様性の種類ごとにあてはまる程度を尋ねたところ、「年齢層」「知識・スキルレベル」が相対的に多く選択されました。(「あてはまる」「ややあてはまる」の合計が80.6%、72.6%)

 ・職務系統別での多様性の大きさについては、以下のような傾向があることが分かりました。

 ●営業・サービス:勤務地の多様性が大きい

 ●サービス :勤務形態・雇用形態の多様性が大きい

 ●事務・技術 :専門性の多様性が大きい

 ・チームが目的が達成されたら解散する期間限定のものである場合には、「国籍」「勤務地」「専門性」「知識・スキルレベル」「職務経歴」「価値観」が、そうでない場合に比べ、多様であることが分かりました。

 ・チームの人数と、発足からの期間については、以下が明らかになりました。

 ●人数:多いほど「年齢層」「勤務形態」「雇用形態」「専門性」が多様

 ●期間:期間比例して傾向が変わることはないものの、半年以内と3年以上を比較すると、3年以上の方が「勤務形態」「雇用形態」が多様で、「職務経歴」は多様でない

●業務・ともに人間関係が良好な多様性が高いチームは全体の45%、

 営業職では「業務問題、人間関係良好」が他より多く、サービス職では「共に良好」が相対的に少なく「業務良好、人間関係問題」が他より多い傾向

 ・多様性が高いチームの業務推進状況と人間関係、それぞれ良好か問題があるかについては、「業務、人間関係、共に良好(以下、共に良好)」が最も選ばれており、45.0%と半数弱、それに続いて、「業務問題、人間関係良好」は21.7%、「業務良好、人間関係問題」は19.9%、「業務、人間関係、共に問題(以下、共に問題)」は13.4%という回答結果となりました。

 ・職務系統別に見ると、いずれも「共に良好」が最も選ばれていましたが、以下の傾向も読み取れました。

 ●サービス:「共に良好」が相対的に少なく、「業務良好、人間関係問題」が他より多い。

 ●営業 :「業務問題、人間関係良好」が他より多く選ばれていた。

 ・チームの属性による傾向の違いとしては、位置づけや人数によるものは見られませんでしたが、期間において、3年以上に「共に問題」が、半年以内に「業務問題、人間関係良好」が多く見られました。

 ・回答理由や具体的なエピソードを見ると、以下のような特徴・傾向が考察できます。

 ●「共に良好」「共に問題」の回答からは、人間関係の良否が、業務推進にそれぞれプラス、マイナスの影響を及ぼしている様子がうかがえました。

 ●「共に良好」の回答には、属性や立場の違いにかかわらず安心して発言できるといった、いわゆる心理的安全性やサポートし合える職場であるというような記述が散見されました。

 ●「業務良好、人間関係問題」の回答からは、業務は滞りなく進んでいるが、少数派の意見が顧みられないといった内容など、チーム内の人間関係、コミュニケーションに不満や課題意識を感じていることが分かった一方で、「業務問題、人間関係良好」の場合には、プロセスは良好だが外的要因のせいで結果が伴わない、業務に直結しない人間関係の良さなどの記述が見られました。

 ・「共に良好」「共に問題」を比較すると、「共に良好」は「性別」「専門性」が多様である割合が高い一方、「共に問題」では「勤務地」「知識・スキルレベル」が多様である割合が高いことが明らかになりました。

 ※この4項目のみ、「共に良好」「共に問題」間に統計的に有意な差が確認されています。

●多様性の高いチームの8割以上が助け合いながら仕事を進めている一方で、お互いの成長やバックグラウンド・価値観について関心があったり期待を伝え合っているのは6割

 ・多様性の高いチームの特徴としてあてはまる(「とてもあてはまる」~「ややあてはまる」)という回答が8割を上回ったのは、「助け合いながら仕事を進めている」「メンバーは、チームで成果をあげることに貢献しようとしている」の2つという結果となりました。

 ・一方、「お互いの成長に関心をもっている」「会社が期待する以上の成果を上げている」「お互いのバックグラウンドや価値観について知っている」「お互いに期待を伝え合っている」があてはまるという回答は6割強でした。職務経歴や価値観の多様さがある中でも、相互理解を深めようとする状況ばかりではないことが考察されます。

 ・「チームのメンバーには、心身に疲れが見られる」にあてはまるとの回答は7割弱でした。「チームの雰囲気が殺伐としている」は半数以下だったので、そこまで悪化した状態ではないものの、やや疲弊した状況であることがうかがえます。

 ・こういったチームの特徴と多様性の10の種類の相関性を分析すると、チームプロセスに影響を及ぼす要因はさまざまであるため解釈は容易ではないものの、多様性の種類によって、チームの特徴のどの部分に関係するかが異なることが分かりました。例えば、「勤務形態」「価値観」の多様さは「協働」「共創」「改善」とプラスの相関がありますが、疲弊ともプラスの相関があり、多様であることが、ポジティブとネガティブ、両方の側面をもたらすことがうかがえます。一方、「専門性」は、「協働」「共創」「改善」および「心理的安全性」とプラスの相関があるものの、「疲弊」との関係は確認されていないため、総じてポジティブな影響がある多様さといえそうです。「性別」の多様さは、「疲弊」とはマイナスの相関、「心理的安全性」とはプラスの相関がありますが、「協働」「共創」「改善」との関係は確認されませんでした。この分析結果からは、「性別」の多様性は、チームに対して直接ポジティブな影響があるわけではないものの、職場風土に影響している可能性が示唆されます。

●チームをうまく進めていく上で障害となる多様性の特徴は、「知識・スキルレベル」が最多で33%

 ここからは、現在所属している特定のチームについてではなく、これまでのチーム経験からの回答について

 の調査結果となります。

 ・チームをうまく進めていく上で、多様性のどの特徴が障害となると思うかを、複数回答で選んでもらった

 ところ、「知識・スキルレベル」が最多で33.0%、続いて「価値観」28.2%、「年齢層」21.7%という

 結果となりました。

 ・職務系統別で見ると、営業は「年齢層」「価値観」を、技術は「勤務地」「専門性」「知識・スキルレベル」を障害として感じる傾向があることが分かりました。

 ・メンバーが多様であることで困った経験や不安についての自由記述では、合意形成・意思疎通に関する記述が最も多く見られました。前述のように、多様な専門性はポジティブな効果をもたらすことが期待されますが、合意形成を困難にする側面もあるようです。また、勤務地や勤務形態の多様さ、知識・スキルレベルのバラつきなどによる意思疎通の苦労も垣間見えます。

 ・いわゆるチームワークの側面である、サポート・協働に関する記述も多く見られ、お互いサポートし合う気持ちや、立場が違う相手への配慮の不足、多様さゆえのサポート要請の難しさなどが挙げられていました。

 ・業務推進、人間関係構築上のベースの考え方に関する記述も多く見られ、判断基準が異なったり、直面する問題の捉え方、対処の仕方が異なったりすることによる大変さが感じられました。中でも、世代間ギャップについての具体的な記述が散見されました。

 ・やる気・意欲のバラつきに関する記述も複数見られました。また、大きなテーマであるため、本調査ではあえて組み込まなかったチームマネジメントやリーダー的な役割について、多様なチームのマネジメントの難しさを感じさせる記述も確認されました。

 ⇒これらの自由回答からは、「心理的安全性を損なわないようにしつつ業務の質に関連する指摘をし合うこ「お互いにサポートを求めることの」の難しさが多様性の中では増大しやすく、また、多様なチームに

 おけるリーダーのあり方がこれから多くのチームで課題となることが考察されました。

 ・年代別で見ると、20代は「年齢層」「勤務地」の選択割合が高い一方で、「勤務形態」は選択割合は1割に満たないのに対し、50代は2割以上が障害だと感じていました。障害だと感じる多様性の種類も、それぞれに異なる様子がうかがえます。

●多様性が高くてよかったことは「異なる意見によってチームの成果があがる」「刺激がある」「楽しい」

 ・多様でよかったとき、もっと多様だといいと思うときに関する自由記述には、「異なる意見によってチームの成果があがる」「個人としても刺激がある」「楽しい」といったものがポジティブな声も多くありました。

5. 調査概要

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