土俵際、残した右足1本 逆転の稀勢2勝目 大相撲

 追い詰められても割らない。俵にかかった右足1本で弓なりになりながら、深く右を差し込んだ千代の国の押しを何とかこらえる。「何があるかわからない。最後までね」。稀勢の里の心は折れていなかった。

 184キロの巨体を押し切れず、たまらず引いたのは相手の方。乗じて一気に前進し、倒れ込みながら押し出した。執念でつかんだ逆転勝利だ。

 攻防ある相撲に沸き立つ館内。初顔を退けた稀勢の里は懸賞金の束を悠然と受け取り、持久力の差を見せつけたことについて「そこしか取りえがないから」と笑い飛ばした。対照的に、あと一歩で金星を逃した千代の国は支度部屋に戻ってもなかなか息が整わず「重かった。苦しい」と絞り出すように振り返った。

 まだ相撲を取ることすらできなかった4月下旬。トレーニングで少しずつ左腕に負荷をかけながら、夏場所の険しさを見通すように語っていた。「守ることはできるが、攻めるのが難しい。いかに我慢できるか」

 この日は守りきったが、けがを抱える左を差して自ら攻められなかった。横綱としてほめられた内容ではないが、いまは最高位に立つ者として白星だけを追求している。

 「いい具合にやれている。また明日につながる」と本人の表情は明るかった。耐え抜いた先に光は見えてくるか。(藤原翔)

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