稀勢の里、難敵退け4連勝 理事長「初日を思えば、だいぶ復調」

 苦しんだ末に少しずつ光明が見えてきた。手負いの稀勢の里が結びの一番で難敵を退け、4連勝。「いいんじゃないですか」と本人からも前向きな言葉が聞かれた。

 碧山には過去12勝6敗。自分より大きい相手の強烈な突き押しをまともに受けて連敗したこともあり、嫌な印象が胸のうちにはあっただろう。それでもこの日は落ち着いていた。

 右から張って碧山の動きを止め、得意の左四つでつかまえた。前に出ながら右上手を引く。こうなれば盤石だ。焦って出ることなく腰を下ろしたまま慎重に寄り切った。

 左上腕付近の負傷の影響を感じさせぬ攻めに、八角理事長(元横綱北勝海)は「初日を思えば、だいぶ復調している」と評価した。

 夏場所は決して出場ありきではなかった。番付発表前から出稽古で関取と相撲を取り始める時期や相手を想定。そして「ここで駄目なら駄目」と決めていた二所ノ関一門連合稽古で琴奨菊の当たりをしっかり受け止め「かなりいい。これで出ないと思う?」と言えるほどの手応えを得た。

 場所の中で状態を上げていくのも思い描いた通り。4日目までに2敗し、周囲は先行きを心配したが、稀勢の里自身の心は落ち着いていたのかもしれない。

 中日で対戦の残る両横綱と2差は優勝圏内だ。3連覇が懸かる後半戦へ「思い切っていきますよ」と静かに語る表情には闘志が詰まっていた。(藤原翔)

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