6勝2敗の稀勢、千代の富士の心境を実感? 「横綱になった者にしかわからないことがある」

 右から張って左差し。横綱稀勢の里は碧山に対し今場所最高の立ち合いから、右へ右へと回って抵抗する相手を、最後は右上手をがっちりつかみ直して寄り切った。

 6勝2敗で中日折り返し。例によって口数少なかったが、今場所初めての自分らしい相撲に「いいんじゃない?」と納得の様子だった。

 昨年7月31日に61歳の若さで亡くなった前九重親方(元横綱千代の富士)は「萩原(稀勢の里の本名)は楽しみだね。必ず横綱になる器だよ」と下の頃から昇進を心待ちにしていた。

 誕生日の6月1日には前倒しで一周忌が営まれるが、自身が横綱のころ「横綱というのは負けた次の日が一番つらい」とよく話していた。

 土俵入りで花道を歩くとき「きょうは勝ってくれ」「もう負けるなよ」などと声をかけられると、たまらなく情けなくなったという。反対に前みつを取って一気に走る得意の速攻で勝ち進んでいるときは、「そろそろ負けろ」と心ない声も飛んでも、かえっていい気分になったという。

 「横綱には横綱になった者でないとわからないことがある」。一門も年代も違う稀勢の里でも、綱を締めたとき先輩横綱として“綱の心”を伝授したかったことだろう。「横綱は10番勝っただけではだめ。つねに優勝戦線にいることが最低限の責任」とも言っていた。

 全勝ターンした白鵬、日馬富士に2差。観戦した横綱審議委員会の守屋秀繁前委員長は、整形外科医の視点でこう指摘した。「左腕に痛みがあったら、あそこまで取れない。トレーニング不足で筋力が落ちているだけで、後半戦はもっと取れる」。奇跡の逆転優勝の夢も何とかつながった。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ