稀勢が認める新鋭 阿武咲「めちゃくちゃ楽しい」 大相撲

 伸び盛りの20歳は日に日に強くなっていくようだ。大相撲で幕内最年少の阿武咲がいま充実のときを迎えている。

 176センチ159キロの固太りの身体で突き押し相撲にこだわる。新入幕だった5月の夏場所は若々しい攻めの相撲で10勝を挙げ、敢闘賞に輝いた。

 さらなる飛躍を期して、名古屋場所に向け調整していた6月中旬。「憧れ。ああいう男になりたい」と心酔する横綱稀勢の里が、自らを求めて所属する阿武松部屋へ出稽古に来た。

 以降、4日間で2人が重ねた三番稽古の番数は計71番。稀勢の里に左四つで組み止められれば何もできないが、逆に立ち合いの馬力から一気の押しやもろ差しで中に入って寄り切る相撲も多々あった。

 阿武咲の力を何より感じたのが稀勢の里。認めているからこそ、若い衆が宿舎準備などで名古屋入りするため、所属する田子ノ浦部屋の東京での稽古が16日で終了してからもたびたび出稽古に来た。

 息が上がり口で呼吸する阿武咲に「やせ我慢も大事。鼻で呼吸できるようになったら三役に上がれるよ。注文はそれだけ」と言いつつも、「本当に強くなった。ちょっと力を抜くと持って行かれる」と本音で評価した。

 ぶつかり稽古で胸を出してもらうこともあり、10分以上しごかれ、何度も大の字になりながら最後まで向かって行った。ぶつかる側も受け止める側も泥だらけ。強くなってほしいと願う横綱と、強くなりたいと思う若手の思いが伝わってくる熱い稽古だった。

 阿武咲は「きついけど、うれしい。感謝しかない。相撲を取っている時間がめちゃくちゃ楽しい。どこまでも食らいついていきたい」と仰ぎ見る存在を前に瞳を輝かせる。

 部屋で普段から猛稽古を積んでいるが、稀勢の里との手合わせでは「3、4倍の疲労度がある」という。朝は午前6時前から30分ごろまで1分ごとに何度も目覚ましをかけなければ起きられないほど、疲れているという。もちろん手応えもつかんでいる。番付発表前ながら「いまから場所なら11番は勝てる」と誇らしげな顔で仕上がりに自信を示した。

 鍛えてもらって「感謝しかない」という横綱への恩返しは本場所で直接対決できる地位まで出世し、勝利をつかむことだろう。そのときは近いかもしれない。(藤原翔)

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