平昌五輪 「パシュート娘」金メダルは絆の結晶 共同生活で築きあげた絆と技術が結実

 一糸乱れぬ滑りが五輪の大舞台で輝いた。3人が隊列を組んで進むスピードスケート女子団体追い抜きで高木美帆(23)、佐藤綾乃(21)、高木菜那(25)、菊池彩花(30)の日本が決勝でオランダを破り、念願の金メダルをつかみとった。4位だった前回ソチ五輪から4年。所属チームの枠を超えた共同生活で築きあげた絆と技術が結実した。

 スピードスケートでメダル「0」と惨敗した前回ソチ五輪後に「ナショナルチーム」が活動を進める中で強化の柱の一つになったのが団体追い抜きだった。女子中長距離のエースに成長し今大会の個人種目で2つのメダルを獲得した高木美が長い距離を先頭で引っ張り、能力を最大限に生かす戦い方が日本の生命線だ。

 順風満帆だったわけではない。2015年5月、オランダからヨハン・デビット・コーチが来日した。東京都内で合宿中だった選手を前に「すべてにおいて百パーセントでないと駄目だ」と告げた。

 強国のコーチは食事はもちろん、起床、就寝時間を指示し、間食する選手を見つけると激怒した。生活と体作りが不可分であるとの意識を選手に厳しく植え付けた。練習は科学的なデータに基づいたもので、選手が肉体的な限界を訴えたときは、具体的な数値を示して気持ちを鼓舞した。

 所属先の垣根を越え、年300日以上の合宿や遠征を重ねてきた日々が、選手たちをライバルであり、心を通わせる同志にさせた。しばしば激論も交わした。最年少の佐藤は高木美らのアドバイスで成長した。高木菜が「後輩にも、先輩にも『後ろで滑ってどうだった?』と聞き合える」という信頼関係を築き、今季は世界記録も塗り替えた。

 一時は中核を担っていた菊池は負傷と戦い大舞台にたどりついた。16年8月、練習中にスケートの刃で右脚の腱(けん)を切り、1シーズンを棒に振りながら復活したのは、待っている仲間がいたからだ。

 10年バンクーバー五輪で銀メダルに輝いたとき、顔ぶれは今大会女子500メートル金メダルの小平奈緒(相沢病院)のほか、穂積雅子、田畑真紀で固まっていた。今回は高木姉妹を軸に、準決勝で滑った菊池、決勝に出場した佐藤と、どちらが出場しても強さを発揮した。「自分たちがパシュート(団体追い抜き)にかけてきた時間はどの国よりも長い」-。高木美が力を込めた積み重ねで、大舞台で大輪の花を咲かせた。(五輪取材班)

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