貴乃花親方の退職理由、もはや消え 親方「無念」協会「残念」 悲劇的結末の双方

 貴乃花親方が日本相撲協会に提出した退職手続きを進める書類に不備があったため、図らずも生じた双方が歩み寄れたはずの時間は無為に流れた。親方が退職する意向を表明した先月25日から1週間。何とかできなかったのか。

 そもそも親方の退職理由はなくなっていた。親方は協会から告発状の内容を事実無根と認めるよう求められ、「真実を曲げられない」と主張。しかし、事実無根というのは協会側の見解であり、親方にも認めるよう求めてはいない。

 また、無所属だった親方の一門所属について親方は「一門に入るには告発状を事実無根と認めなければならず、一門外では部屋を持てない」などと圧力を受けたと主張した。だが、協会にはそもそも一門外の親方に対する罰則自体がない。

 八角理事長(元横綱北勝海)は退職決定後の会見で、貴乃花親方と会って話し合いたい意向を代理人の弁護士や知人らを通じて呼び掛けていた経緯を明かした。それでも貴乃花親方が応じることはなく、「平成の大横綱」と呼ばれた英雄は角界を去ることになった。

 少なくとも貴乃花親方が挙げた退職理由に関しては、協会との溝は埋まっている。にもかかわず親方は協会の考えを問うことはなく、協会も状況を打開できなかった。退職を親方は「無念」、八角理事長は「残念」と表現したように、双方にもどかしさが残る悲劇的な結末となってしまった。(奥山次郎)

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