卓球Tリーグ開幕 白熱プレーも集客や演出に課題…トイレに行くのも一苦労

【スポーツ異聞】

 卓球の新リーグ「Tリーグ」が24日、東京・両国国技館で開幕した。メダルなしに終わった2008年北京五輪後に、リーグ構想が持ち上がってから約10年。「今まで長い時間をかけてきて感無量になるかなと思ったが、反省点が見えた。残り85試合もある。満足できるところはあまりない」。松下浩二理事長は開幕戦後、感慨に浸る間もなく反省点を口にした。

 Tリーグは強化と普及を目的に、国内外の有力選手を集めて団体戦で争う新リーグ。男女各4チームで構成され、レギュラーシーズンはそれぞれ7回戦総当たりの全21試合で争う。各上位2チームが3月のファイナルに進む。試合はダブルス1試合、シングルス3試合で行われ、2-2となった場合はシングルスで1ゲームのみの延長戦を行い、決着をつける方式で争われる。

 記念すべき開幕カードは、男子の木下マイスター東京-T・T彩たま戦。水谷隼(じゅん)や張本智和ら日本代表の主力を集めた東京と、吉村真晴(まはる)をはじめとした日本選手に加え香港の黄鎮廷(こうちんてい)や韓国の鄭栄植(チョンヨンシク)ら各国のエース級を集めた国際色豊かな彩たまの戦いは3勝1敗で東京が制した。中でもフルゲームにもつれた第4試合の水谷-鄭のシングルス戦には、集まった5624人の観衆が熱狂。台から離れたダイナミックな2人のラリーには、1球ごとにどよめきが起こった。

 この試合に水谷は敗れたが、「観客のみなさんに喜んでもらえてよかった」とコメント。卓球という競技の魅力、面白さを伝えるには十分な試合になったといえるだろう。

 ただし、運営面では改善すべき点が浮き彫りになった。選手紹介では東京の松平健太の際、この日は試合に出場しなかった同チームの田添健汰の画像が大型画面に表示されるミス。また、第2試合終了後に設けられている約10分間のハーフタイムには何の演出もなく、会場はコートが照明で照らされているだけ。客席はずっと暗転した状態が続き、席を探したりトイレに行くのも一苦労だった。

 松下理事長が特に気にしたのは会場の雰囲気づくり。卓球を見に来るのが初めてという客層も多く、松下理事長は「競技中の盛り上げ方は課題がある。プレーには喜んでくれるが、演出や応援の仕方は考えないと」と指摘する。

 集客も当面の課題だ。男子開幕の翌日に行われた25日の女子開幕戦では、平野美宇(日本生命)らトップ選手が出場したにもかかわらず、観衆は前日から約1000人減の4572人に留まった。約7000席のキャパシティから考えると物足りなさは残った。

 その後、男子は名古屋・武田テバオーシャンアリーナ、女子は東京・立川立飛(たちひ)アリーナに場所を移して28日までに試合は1巡した。ただ、リーグが目標とする「1試合平均2千人」に届いた試合はなく、日本代表選手がいない試合では観衆が600人ほどに落ち込むこともあった。

 Tリーグは早速、選手らによる卓球ボールの客席への投げ込みや、試合後のサイン対応を行うことにした。Tリーグの広報担当者は「選手たちはレベルの高い素晴らしい戦いをしてくれているが、運営側が追いついていないのが実情。トライアンドエラーを繰り返しながらリーグを盛り上げていきたい」とコメント。11月15日から始まる2巡目に向け、今後も安全面に憂慮しながら、さまざまな取り組みをしていくつもりだ。

 「卓球を国技にしたい」。そんな松下理事長の熱い思いから、日本の国技・相撲の聖地、両国国技館で幕を開けたTリーグ。手探りのシーズンは始まったばかりだ。(運動部 川峯千尋)

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