張本氏VSダル論争、本当の元凶は高野連 イニング制限など具体策先送り 2人の対立ウラにメジャーへの評価の違いも

江尻良文の快説・怪説

 にわかに注目を集めている、TBS系の「サンデーモーニング」「週刊・御意見番」コーナーで4日、張本勲氏(79)はカブス・ダルビッシュ有(32)の挑発発言を完全無視。固唾をのんで見守っていた視聴者は肩すかしだったが、今後の展開はどうなるのか。

 世代も価値観も全く違う2人の“論争”は、はた目には実に興味深い。

 最速163キロ右腕の大船渡高・佐々木朗希投手が岩手県大会決勝で、疲労を考慮され登板回避し甲子園出場を逃したことを受けて、張本氏は前週(7月28日)のこの番組で、「ケガをするのはスポーツ選手の宿命だもの。痛くても投げさせるくらいの監督じゃないとダメだよ」「あの苦しいところで投げさせたら、将来、本人のプラスになるんですよ」などと猛批判。

 これに対し、日頃から高校生の登板過多などに批判的なダルビッシュは自身のツイッターで、「シェンロン(漫画『ドラゴンボール』に登場する龍の神様)が一つ願いこと叶えてあげると言ってきたら迷いなくこのコーナーを消してくださいと言う」と毒づいた。

 すると張本氏も負けじと、今月1日の「週刊文春デジタル」のインタビューで「ダルビッシュ? あの子はツイッターでべらべらしゃべりすぎるな、ありゃ。同じ球界だからちょっと厳しく言うけどね、男だったらあまりべらべらくだらんチンピラみたいなことしゃべらないで、ツイッターに書き込まないほうがいいよ」と発信。

 ダルビッシュも引かずにツイッターで「ずっと停滞していた日本球界を変えていくには勉強し、今までのことに疑問を感じ、新しいことを取り入れていく。その中で議論というのは外せないツール。それを黙って仕事しろとはまさに日本球界の成長を止めてきた原因って気づかないのかな」と反論したのだった。

 2人の主張は、どこまでいっても平行線の泥仕合にしかならない。張本氏が今回、沈黙を保ったのは賢明だろう。そもそも佐々木の登板回避問題の本当の元凶は、沈黙は金とばかりに他人事のような顔をしている高野連だ。

 登板過多による故障問題は今に始まった問題ではなく、長年の重要テーマになっているのに、手をこまねいているだけ。甲子園大会中の休みを1日増やすとか、小手先の対応ばかりで、投手のイニング制限など具体策はお役所仕事と一緒で先送りの繰り返し。「投手の障害予防に関する有識者会議」を立ち上げたが、結論を丸投げ、先延ばしにいているようにしか見えない。

 また、張本氏とダルビッシュの対立の裏には、メジャーリーグへの評価の決定的な違いもある。

 「今の若い選手の多くは、何でもかんでもメジャー流が一番だと思っているが、とんでもない思い違いだ。日本流の良いところも多くある。メジャーなんか“ダメジャー”だ。日本人メジャーリーガーで本当に成功したといえるのはイチロー1人だけだ」と張本氏は何度もクギを刺している。

 実際、「平成の怪物」松坂大輔(現中日)が、メジャーで長く活躍できなかったのは、練習の時から球数制限をする米国流が合わなかったから。

 西武時代は春のキャンプから1日100球以上は当たり前、時には倍の200球近く投げ込んで肩を作る。だから試合でも130球投げて完投勝ちなど珍しくなかった。

 そんな歴史をへて、「令和の怪物」の佐々木は、10月のドラフト会議でどこの球団に指名され、プロでどんな新伝説を作るのか。現在の大騒動の末のエピローグに今から興味は尽きない。(江尻良文)

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