小6時代の担任が明かす「努力の天才」渋野日向子 授業で活躍「裏で何回も練習して成し遂げるタイプ」

緊急連載 渋野日向子スマイルのルーツ

 ゴルフの「AIG全英女子オープン」で日本勢42年ぶり2人目のメジャー勝利を果たし、9日から凱旋試合の「北海道meijiカップ」(札幌国際CC島松C)に出場している渋野日向子(20)=RSK山陽放送。自然体の立居振る舞いが印象的だが、その実像はまさに「努力の天才」だ。小学6年生時の担任教師だった徳永加世子さん(41)が知られざる秘話を明かした。(山戸英州)

                  

 いま、メディアを通して“しぶこスマイル”を見ない日はない。誰もがその笑顔に癒やされている。

 「世間の日向子ちゃんのイメージは、ニコニコしていて、あっという間に、簡単に優勝をつかんだというものかもしれません。でも、私が知っている小学校時代の彼女は、器用というより“努力の人”。(全英女子の優勝も)まさかというより、“あの努力をしていれば、いずれ大きな結果が出てもおかしくない”と思っていました」

 徳永さんはそう言って、渋野の小6当時に思いをはせた。

 体格もよく、パワーもあった。「授業でタグラグビー(ラグビーのルールをもとにした年少者・初心者向けの球技)をやらせても、ブルドーザーが走るような活躍でしたが、裏では何回も何回も練習して成し遂げるタイプでした」という。

 当時の渋野はソフトボールに熱中し、投手として上達しようと必死。「1年中、毎日のようにお父さんが帰宅してから2人で放課後の校庭にやってきて、そこから暗くなるまでずっと投球練習。お父さんが来られないときは、お母さんが相手をされていました。真夏でも、寒い冬でもお構いなし。長期休み中でも変わりませんでした。私はそれを職員室で仕事をしながら“当たり前の光景”としてみていました。全英女子で優勝したのも、あの時を“原点”として忘れなかったのが大きいのではないかな。だから、『あの子が?』というよりも『そりゃあ、当然よ』と思いました」とうなずく。

 土・日にソフトの試合で負けた後は、月曜日の授業でイライラする表情があり、「その態度はないよね。みんな結果を問わず切り替えて頑張ってるよ」とさりげなく諭したこともあった。とはいえ「周りに八つ当たりして迷惑をかけるとかではなく、自分の中で時間をかけながら悔しさを収めているようでした」。

 身体能力の高さを生かして陸上大会にも出場し、決勝の常連だった。

 「年季の入った、自家製の梅干しをほおばって『おばあちゃんが持たせてくれたんよ』と笑ってね。で、いざ優勝がちらつくと、いつもの彼女じゃなくなる。表情も変わった。ゴルフって、追い込まれるメンタルスポーツでしょ。そこが小学生時代と今を比べて、一番克服し成長したところだなと。その過程としてギャラリーとハイタッチしたり、好きな駄菓子を食べたり、コーチと楽しそうに話したり…自分で自分をコントロールしているんだろうなと」

 半面、「ときどきミスしたときに、昔見かけた日向子ちゃんの『知っている表情』が出てくるんですよ。中継を見ていて『それはダメダメ』って」とドキドキしながら戦況を見つめていたという。

 自然体は今でも変わらない。「優勝後、会見を見ていて『もう少し格好つけてもいいのでは?』と思う場面がありました。でも、そこは彼女らしくまっすぐに飾らず話していたのが好印象。忘れちゃいけないのは、昔から“文武両道”でもあったこと。渋野3姉妹は、みんなそうでした。家庭訪問に伺った際、お母さんから『うちは学校が最優先。それがあってのスポーツですから。それがうちの教育方針。学業をおろそかにはしてほしくないので。できていないことがあれば、言ってください。重要な大会の前後でも、宿題免除はしないでください』と。とにかく何事も一生懸命。ずっと努力していた」と明かす。

 プライベートでは、他の教師からも頼りにされる存在だった。「女の子同士で群れるのが苦手で、休み時間は男の子と一緒に遊んでいました。口数は多くなかったですが、いっぱい遊んでみんなと仲良くなれる子。小学6年生って、人間関係が徐々に難しくなる時期なのですが、他の先生方からも『うまく緩和してくれる』と褒める声がありました。自分と馬の合う子をちゃんと探していた」と振り返る。

 自分の人生の軸に「ゴルフ」を置くにあたっても、冷静な判断があった。「将来について聞くと、『ゴルフとソフトボールでは分母(競技人口)が違う。ソフトを続けるにも中学校には(部活が)ない。女性ばかりの中でやっていくよりは、今楽しくやれているゴルフの方が将来、道が開けていくのかな』と返してきた。お家の方と話をしていたんだと思います。あの年齢で自分のことをある程度理解できていたと思います」

 卒業後、徳永さんは一度も渋野と再会していない。「これだけ有名になったし、どうやって会おうかな…」と話しつつ、教え子には「あの素朴なまんま頑張ってほしいですね。まだまだ、夢に向かって走っている年代。ひと足先に夢をかなえたことで、同級生に『自分も頑張らなくちゃ』と刺激を与えると思う」と期待を寄せる。

 「努力の天才」の渋野は栄光をつかむための力を、小学校時代に着実に蓄えていたのだった。

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