29歳・大江香織の決断 隆盛極める女子プロゴルフ界で“引退”するということ

 【SPORTS BAR】

 大江香織、29歳。女子プロゴルファー。前週の「伊藤園レディス」を最後に引退を宣言した。

 「もうトーナメントに出ることはありません。自分の伸びしろを感じられなかったというのが理由です」

 具体的には?

 「2勝目(2016年のTポイントレディス)を挙げた後、9連続くらい予選落ちした。うまい人は安定して優勝争いしているし、そういう選手になりたいと思ってやってましたが、なかなか難しかった。そういう経験が重なって…。3勝目(18年のミヤギテレビ杯ダンロップ)の時も『その場で辞めてやろう』くらいの感じだった」

 自らが下した決断。普通、プロゴルファーに引退はない。しかも、前週は9位タイと余力を残していたが、「次へのステップのために気持ちに区切りを付けたかった」と大江は言った。

 隆盛を極める日本の女子ゴルフツアーだが、いま世代交代の大きな波がやってきている。今季、米ツアー「全英女子オープン」を制覇、42年ぶりにメジャータイトルを手にした渋野日向子を筆頭に勝みなみ、原英莉花らのいわゆる“黄金世代”。さらに“ミレニアム世代”として安田祐香ら2000年代生まれもプロテストに合格。“若年化”が進んでいる。

 今季ツアー37試合を消化し大江を上回る年齢で優勝しているのは申ジエ、上田桃子、李知姫、黄アルムの4選手だけ。大江もそんな時流や空気を読み切って、ツアープロに“すがる”ことを選択せず、次の道を明確にしたのであろう。

 ある中堅選手がこう話していた。

 「ジュニア時代からゴルフ漬けだった。ゴルフって同じ方向への運動でしょう。どうしてもバランスが悪くなる。で、25歳過ぎ辺りから体に変調をきたして、30歳を過ぎたら、いくら鍛えても体中が思うようにいかなくなった。昔のゴルフが戻ってこなかった」

 海外の選手は、幼い頃からゴルフ以外のスポーツもやる傾向がある。以前、米男子ツアーに参戦する松山英樹は…。

 「こっちの選手は体幹というか、体が強い。きっといろんなスポーツをやっていたことと関係があると思う。いまのジュニアの選手には、違うスポーツをやることを勧めたい」。ある意味、興味深い話である。そういえば渋野日向子はソフトボール出身である。

 ともあれ大江は決断した。プロ11年、生涯獲得賞金2億5972万9816円。「やったことがないのでできるかわからないけど、スポーツ・リポーターにチャレンジしたい」と夢を語った。

 頑張れ!(産経新聞特別記者・清水満)

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