羽生、まさかのV逸「弱っちい」 ジャンプ5本減点で宇野に初黒星

 フィギュアスケート全日本選手権最終日(22日、国立代々木競技場)絶対王者がまさかの逆転負け-。男子ショートプログラム(SP)1位の羽生結弦(25)=ANA=が、フリー3位の172.05点にとどまり、合計282.77点で2位。5週間で3戦目の疲労からジャンプでミスを重ね、4年ぶりに出場した全日本選手権の優勝を逃した。SP2位からフリーで1位となり、合計290.57点で4連覇を飾った年下の宇野昌磨(22)=トヨタ自動車=に初めて敗れ、「本当に弱っちい」と悔しさをにじませた。

 悔し涙をこらえたのは、いつ以来だろう。合計の自己ベストを約40点も下回るスコアを聞いた羽生が、目をつむりうつむいた。キャリアで初めて敗れた宇野と表彰式で抱擁を交わす。精いっぱいの笑顔は、どこか悲しげだった。

 「言葉が見つからない。全部言い訳くさく聞こえるから、何も言いたくないのが本音です。本当に弱っちい」

 失敗また失敗。全7本のジャンプのうち、5本で減点を受けた。4回転の成功は4本中1本。最後の2連続技は、最も得意とする1本目のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)でまさかの転倒に終わった。日本勢に敗れるのは、2014年11月のNHK杯以来、実に5年ぶり。この時はけがを押して出場し、4位で村上大介に王座を譲った。

 5週間で3戦目だった。それも、打倒ネーサン・チェン(米国)を掲げた2週間前のグランプリファイナル(イタリア・トリノ)で4回転4種類5本と高難度のフリーを終えたばかり。「精神状態と肉体とイメージがバラバラに乖離(かいり)していた。体が日に日に劣化していく感じがあった。疲れました。でも頑張ったと思います」。20日のSPでは非公認ながら110・72点の世界最高をマークしたものの、ついに息が切れた。

 2016年はインフルエンザ、17年と18年は脚の故障で欠場。自らが不在の間に王座を守ってきた宇野に4連覇を許した。チェンらに敗れたときには闘志をむき出しにするが、この日は正反対だった。「昌磨がやっと戻ってきてくれて、正直うれしい。初めてちゃんと負けたので、ちょっとほっとしています。昌磨は強い」

 今季はコーチ不在が続き、もがいていた宇野の姿を見ていた。元世界王者のステファン・ランビエル氏に師事し、22歳の後輩スケーターはようやく腰を据えた。「全日本王者って大変だよ」。優勝4度の25歳は、メダリストが肩を並べる会見で冗談交じりに言った。

 次戦は来年2月6日開幕の四大陸選手権(ソウル)。志願の出場だ。3月には世界選手権(カナダ・モントリオール)でチェンとの再戦が訪れる。四大陸で前人未到のクワッドアクセル(4回転半)投入を視野に入れる。

 「それを習得するステップにしたい。今は圧倒的な武器が必要。今のスケートを支えている芯なので。こんなもんじゃねえぞって、これから頑張ります」

 平成の全日本を中心で駆け抜けたが、令和の銀盤で主役を奪われた。このまま終われるわけがない。(鈴木智紘)

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