“攻め”の渋野日向子と“守り”の鈴木愛 女子ゴルフ五輪代表争い、両者の対照的な作戦 畑岡奈紗は“当確” 6月末までデッドヒート必須

 昨年賞金女王争いを繰り広げた渋野日向子(21)と鈴木愛(25)が21日、クラブ契約しているPINGゴルフの新製品発表会に出席した。ともに東京五輪出場を目指しており、代表選手が決定する6月末まで再びのデッドヒートは必至。両者が選んだ作戦は対照的だ。2月中旬の米ツアーを初戦にする“攻め”の渋野に対し、“守り”の鈴木は3月上旬の国内ツアー開幕戦から始動。笑うのはどちらか。(塚沢健太郎)

 五輪イヤーが幕を開け、女子ゴルフの代表争いはし烈を極めている。

 出場権は世界ランキングの各国上位2人に加えて、同ランク15位以内に入れば各国最大4人まで出場可能。20日発表の最新ランクでは畑岡奈紗(21)が日本勢トップの5位。渋野が11位、鈴木がちょうどボーダーライン上の15位。稲見萌寧(20)が54位。現状は畑岡、渋野、鈴木が圏内となっている。

 畑岡は米ツアー開幕戦のダイヤモンドリゾーツ・チャンピオンズで、プレーオフ7ホールの大激戦の末に敗れて2位。それでも鈴木が「奈紗ちゃんは行ける確率がすごく高い」と“当確”を出せば、渋野も「間違いない」とうなずいた。

 残る確定の1枠を、渋野と鈴木が争うマッチレース。その始動は“動と静”に分かれた。

 渋野は今月下旬からタイで10日間の合宿を決行。2月23日開幕のホンダLPGAタイランドを皮切りに、翌週のHSBC女子チャンピオンズ(シンガポール)、国内開幕戦のダイキンオーキッド(3月5日から、琉球GC)と転戦する。

 渋野は「(シンガポールは)正直どんなコースか見ていないんですけど」と豪快に笑い飛ばし、「現地に行って調整して、その場で対応できたらいい。技術も足りないので、しっかりやっていかなければいけない」と意気込んだ。

 まだ、プロ2年目の怖いもの知らず。若さを武器にイケイケドンドンで攻める作戦だ。21年の米ツアー参戦をにらみ、なるべく多くの海外の試合に出場し、経験を積みたいという狙いもある。

 一方、プロ7年目の鈴木は緻密なスケジュールを組んだ。昨年最終戦までに世界ランク20位入りを目標とし、17位でクリア。12月30日に15位で五輪圏内に飛び込み、「あとは、どれだけ今季戦えるか」。リスクを冒すわけにはいかない。下手に好結果が望めそうにない大会に出場して、順位を1つでも下げた途端、ボーダーラインからこぼれ落ちてしまうからだ。

 近日中に米アリゾナ州へ出発し、2月中旬まで合宿。HSBC女子チャンピオンズは出場権を持っているが、回避する。

 「コースを見て、戦えそうなら行こうかと思ったけど、ちょっと難しそうだった。自分が毎日アンダーを出せるかと思ったら、ちょっと出なさそうかと思ったので、止めました」と冷静に分析し、安全策を採った。

 「練習時期がいつも1月の後半から。ダイキンの前の週ぐらいにいつも仕上がるので、間に合うかギリギリ。間に合っていないのに行って、順位を落とすより、ちょっとずつ積み重ねる方がリスクは少ない」

 初戦はダイキンで、米ツアーはメジャー大会のみ。「なるべくシーズンに入って早めに仕上がるように、たくさん練習して、6月までに1回ピークを持っていきたい」と青写真を描いている。

 世界ランクは過去2年間の成績で算出される仕組み。昨季がルーキーイヤーの渋野はポイントが上がるばかりだが、鈴木は2年前の前半戦で2勝しており、それを上回るポイントアップが求められる。

 それにしても、15位までが五輪圏内というボーダーラインは、今の2人のランクを考えれば絶妙なまでに悩ましい設定といえる。これが20位や25位までならここまで気を遣わずに済んだだけに、鈴木は「そうしてくれませんかね」と苦笑いだ。

 また、サッカーやバレーボールなど多くの競技は、実力を問わず自国開催枠があるのに、ゴルフはマラソンなどと同様、日本勢の出場枠はリオ五輪と変わらない。出場国枠も「あったらいいのにな」と、渋野は3人での出場を願った。

 この日の会見は、なぜか2人並んで立ち話で行われた。今後のスケジュールや狙いを真横にいるライバルに対して、すべて明かし合うという異例の展開。鈴木が話していると、渋野が「うん、うん」と同意し、その逆のパターンも。話すたびに互いが反応し、笑いの絶えない会見となったが、いざシーズンが本格的に始まれば、赤い火花が散ることになりそうだ。

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