五輪予選延期、ファン対応見直し…新型肺炎拡大がスポーツ界に落とす影

 新型コロナウイルスによる肺炎拡大がスポーツ界にも影を落としている。東京五輪・パラリンピックの出場に関わる国際大会の延期や中止が相次ぎ、ポイント制で五輪出場が決まるバドミントンやゴルフなどに影響が出かねない。プロ野球ではファン対応の際にマスク着用を徹底する球団もあり、サッカーJリーグでは8日に行われた公式戦で会場に配置する医療関係者を増員して対応した。対策を迫られるスポーツ界は頭を悩ませている。

 「東京大会の中止や延期は検討されていないことを改めてはっきり申し上げたい」。13日に行われた国際オリンピック委員会(IOC)と大会組織委員会などの事務折衝で森喜朗会長はこう語気を強めた。ただ、五輪の代表選考には影響が出始めている。

 バドミントンは4月21日から中国・武漢でアジア選手権を予定。同選手権の結果が反映された4月28日付の世界ランキングで代表が決定するため、大会が中止された場合の影響は大きい。リオデジャネイロ五輪女子ダブルス金メダルの高橋礼華、松友美佐紀組(日本ユニシス)は現在、代表圏外の日本勢3番手で、場合によっては五輪出場が難しくなる。

 ボクシングの五輪アジア・オセアニア予選は、2月にやはり武漢で行われる予定だったが、3月にヨルダンのアンマンでの開催に変更された。日本ボクシング連盟の本(もと)博国(ひろくに)強化委員長は「合宿で強化ができていたため、成果につながると考えていた。選手には丁寧に説明し、前向きな考えを持たせたい」とコメントした。

 2月に開催予定だった陸上のアジア室内選手権(中国・杭州)は中止になり、3月の世界室内選手権(南京)も延期に。ゴルフでは米女子ツアーのホンダLPGA(20日開幕、タイ)、HSBC女子世界選手権(27日開幕、シンガポール)、ブルーベイLPGA(3月5日開幕、中国)の中止が決まった。ホンダLPGAを今年の初戦に予定していた渋野日向子も五輪に向けた調整や戦略の修正が求められることになる。

 こうした中、政府は競技団体向けの相談窓口を13日付で設置。さらに情報共有を図るため、政府、日本オリンピック委員会(JOC)、日本パラリンピック委員会(JPC)、東京都、大会組織委、関係自治体の担当者からなる総勢30人程度の対策「推進チーム」も13日に発足させた。

 中国チームが国際大会に出場できない事態も起きている。練習環境の悪化などを理由に、中国代表は3月にハンガリーで開催されるハンドボール女子五輪予選を欠場。ロイター通信は15日、主催者の話として、豪州のメルボルンで20日に開幕する体操の種目別ワールドカップ(W杯)に、中国チームが入国制限のため出場できなくなったと報じた。

 中国の五輪事前キャンプ地に決まっている日本の自治体も事態を注意深く見守っている。卓球やバレーボールなどで事前合宿を受け入れる東京都町田市の担当者は「現状で変更はないが、動向を見守っている。来られることを想定してお待ちするしかない」と気をもむ。

 プロスポーツでは観客への対応にも苦慮している。春季キャンプ中のプロ野球では、阪神がファン対応の際に選手にマスク着用を徹底。オープン戦などの対外試合では阪神や中日など複数の球団が感染を防ぐためにジェット風船を禁止にすることを表明している。ラグビーのトップリーグでは、試合後に選手とファンがハイタッチする「グリーティングタイム」を中止にした。大相撲は3月8日に春場所(エディオンアリーナ大阪)の初日を迎える。日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)は協会内で危機感を共有していることを明かし、「人ごとではない。基本的なうがいや手洗い、消毒など最善を尽くしてもらう」と話している。

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