トランプ大統領周辺を捜査?凄腕検事「解雇」に飛び交う陰謀説

 【複眼ジャーナル@NYC】

 マンハッタンのアッパーウエスト地区には「倫理文化の会」なる慈善団体がある。19世紀設立で、人権保護といった時代時代の社会的要請に取り組んできた。

 金融危機以降は「銀行家の倫理観」を取り上げる機会が増えた。先週末も、著名経済事件の判決で知られるニューヨーク南部地区連邦地裁のジェッド・レイコフ判事を主賓に招き、「ウォール街の倫理」をどうただすのかが話し合われた。

 不動産バブルを助長したウォール街の法的責任は、まだ問われていない。最近明らかになった巨大運用会社の不正取引事件でも、トップは刑事責任を免れた。「銀行家には説明責任がある」(米コロンビア大学地球研究所長のジェフリー・サックス氏)という問題意識である。

 「ウォール街の倫理」をただす方法として、「法人でなく、経営者個人に責任を負わせる」「捜査の強化」といった意見が会合では出たが、議論の最中に参加者がこう言い放った。

 「そもそも、悪いやつらを取り締まろうとしてきた人が辞めてしまったではないか?」。プリート・バララ・ニューヨーク南部地区連邦検事のことである。

 「銀行家の天敵」。こんな異名をとる凄腕(すごうで)検事の退任が話題になっている。トランプ政権が先週、前政権に任命された46人の連邦検事の辞任を求めたのだが、2009年から職にあったバララ氏もその一人だった。

 人々がクビをかしげるのは、トランプ大統領が昨年末時点でバララ氏に留任を求めていたからだ。米捜査当局の中では「金融危機の戦犯捜し」に孤軍奮闘する捜査官として、バララ氏は半ば英雄視されていた。

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