60歳迎えたEUに「大国主導」復活か 英離脱、EU嫌い米大統領…深まる危機に原点回帰で再生機運

 【三井美奈の国際情報ファイル】

 このところ、欧州連合(EU)はご難続きである。英国に離婚を宣告され、米国ではEU嫌いのトランプ政権が誕生。ロンドンではまたテロが起き、「反移民、反EU」のポピュリズム(大衆迎合主義)政党が勢いづく。

 危機のおかげで、再生に向けた動きが出てきた。今月6日、ベルサイユ宮殿にドイツ、フランス、イタリア、スペインの4カ国首脳が集結した。メルケル独首相はホスト役のオランド仏大統領と共に、「これからは異なるスピードで欧州統合を進めよう。このままでは行き詰まる」と訴えた。

 折しもEUは今月、設立の礎「ローマ条約」調印から60年を迎える。60歳の節目に、条約の原加盟国であるドイツ(当時は西独)、フランス、イタリア、それにスペインを加えた西欧4大国の主導で家族の立て直しを図ろうという「原点回帰」である。独仏の二大国がけん引役として復活した。

 「異なるスピードの統合」はEUの官僚用語。平たく言えば「大国が政策をまとめ、先に始める」ということ。ユーロ防衛のための共通財政、税制調和、情報共有によるテロ対策など、差し迫った政策を西欧中心に進めるようというのだ。11カ国だけで発足したユーロ導入という前例もある。

 西欧6カ国で始まったEUは2004年以降、旧ソ連圏からの加盟を急ピッチで進め、今では28カ国の大所帯。民主主義の建前から、国の大小にかかわらず等しく一票を持つ「全会一致」が設立以来の原則だ。

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