シリア情勢 トランプ政権のシリア政策転換は「現実追認」 国際社会に戸惑いも

 【カイロ=佐藤貴生】トランプ米政権が、シリアのアサド大統領の退陣よりイスラム国(IS)掃討を優先させる方針を明確にしたことは、アサド氏退陣を主張したオバマ前政権の政策が効力を持ち得なかった現実を追認するものといえる。対シリア政策の事実上の転換だけに、国際社会は戸惑いをもって受け止めている。

 シリア反体制派を代表する「最高交渉委員会」(HNC)のメンバーは、米政府は「矛盾したメッセージ」を送っていると述べた。フランスの国連大使も「アサド氏はシリアの未来には存在し得ない」と牽制した。

 シリア情勢では米国に代わり、ロシアが影響力を強めてきた。政権側に協力して空爆を行い、昨年末には北部アレッポを反体制派から奪還。今年1月にはイラン、トルコとともに和平協議を開催した。

 3月28日にモスクワでプーチン露大統領と会談したイランのロウハニ大統領は、トルコを含む3カ国で今後もシリア和平協議を行うと表明、主導権を維持する意欲を示した。

 中東の衛星テレビ局アルアラビーヤ(電子版)は31日、ロシアがシリア情勢で一定の目的を達し、今後は米国などとの「取引」に入るとのイラン外交官の見方を紹介している。

 米国は反体制派勢力とシリア北部ラッカをISから奪還する作戦を進めているが、IS掃討で米露の共闘がどう進められるかは未知数で、シリアの統治体制の将来像も明確ではない。先行きは不透明だ。

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