韓国大統領選 反日政権の衝撃(上)「親日派を清算する」慰安婦問題蒸し返す構え

 もう一つは、自殺した盧の遺志を継ぐという“呪縛”と李明博(ミョンバク)・朴槿恵と9年余り続いた保守政権の全否定から来るものだ。自負を示すのが文の次の言葉だ。

 「盧武鉉政権では、南北間に軍事的衝突がたったの1件もなかった」

 李・朴両政権を「安保も無能だった」と切り捨てる。韓国哨戒艦撃沈や延坪島砲撃は李政権時代の10年に起きた。だが、盧政権時代には、開城(ケソン)工業団地などを通じた経済協力の下、北朝鮮が核・ミサイル開発を続け、06年に初の核実験を強行した事実から都合よく目を背けている。盧政権時代の南北融和は、経済支援というカネで買った“かりそめの平和”にすぎない。

 選挙戦序盤、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備をめぐる立場の曖昧さなどを突かれ、文は守勢に立たされていた。

 結果的に文に助けの手を差し伸べたのは、トランプだった。4月下旬、10億ドル(約1100億円)のTHAAD配備費は韓国が負担するのが望ましいと韓国側に伝えたと述べたのだ。合意を無視した発言に韓国世論が反発。文陣営は「THAADの配備決定は初めから重大な欠陥があったことが明らかになった」と攻勢に転じた。

 支持率で他候補に差を付ける中、対北政策でも自信を深め、8日夜のテレビ演説ではこう宣言した。

 「圧倒的支持をいただければ、その力で朝鮮半島の平和の扉を再び開く。北朝鮮の核問題を解決し、対話の種をまく」=敬称略

(ソウル 名村隆寛、桜井紀雄)

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