IS、シリアでも劣勢くっきり 打倒後の駆け引きも激化

 【カイロ=佐藤貴生】イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)がシリア各地で劣勢を強いられている。ISは一方的に「首都」だと宣言した北部ラッカに続き、東部の要衝デリゾールなども失いつつある。ただ、各地の対IS掃討にはアサド政権軍や米露を含むさまざまな勢力が入り乱れており、シリアの安定に結び付くかは不透明だ。

 デリゾールの奪還に乗り出したのはアサド政権軍で、国営通信によると9月上旬にはISの防衛戦を突破。市内の空軍基地も奪還した。約9万人の市民が取り残され、国連などが上空から投下する支援物資に頼って暮らしていたという。

 掃討作戦はロシアの艦艇が地中海から巡航ミサイルを発射するなどして支援、プーチン大統領も「戦略上の勝利」だと祝福した。ロシアはシリア南西部などに設けた停戦合意地点の監視も主導しており、和平主導の姿勢をアピールする狙いがうかがえる。

 デリゾールはシリアの石油産業の中心地で、ISが約3年前に制圧した。6月にはイランも首都テヘランで起きた同時テロの報復として、デリゾールのISの拠点に中距離ミサイルを撃ち込んでいる。10日以降は米軍が支援するシリア民主軍(SDF)もデリゾール攻略に着手するなど、情勢は複雑さを増している。

 また、ラッカでは9月上旬、米軍の支援を受けるアラブ人や少数民族クルド人らの武装勢力が、旧市街や歴史的なモスク(イスラム教礼拝所)を奪還した。6月に始めた掃討作戦で市街地の65%を取り戻したとの情報もある。

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