「帝国の慰安婦」問題 逆転有罪であらためて言論の自由問われる韓国

 【ソウル=名村隆寛】慰安婦問題に関する韓国の著書「帝国の慰安婦」をめぐる控訴審で、ソウル高裁が1審の無罪判決を破棄し、罰金1千万ウォン(約100万円)の有罪判決を言い渡したことで、韓国の言論・研究の自由があらためて問われることになった。

 判決は、元慰安婦らの「名誉を毀(き)損(そん)する意図があった」としたが、それ以前に、肝心な事実の誤認や誤解を重視した上で、成り立っている。

 その一つが慰安婦を「性奴隷」と定義した1996年の国連報告(クマラスワミ報告)だ。この報告は、すでに虚偽であることが判明済みの「朝鮮半島で女性を強制連行した」といった故吉田清治氏の証言などを引用し、「性奴隷」であった慰安婦を「20万人」と記述。世界に拡散した誤解の根拠を作ったものだ。

 また、判決は日本軍の関与と強制性を認めた93年の河野官房長官談話も認めた上で出された。だが、朴裕河氏の著書は河野談話を否定せず、むしろ評価している。

 判決は一方で「表現の自由」にも配慮し、議論の萎縮を懸念。刑事処罰は望ましくなく、懲役3年の求刑を罰金刑にした根拠を説明してはいる。ただ、“配慮”があろうが、名誉毀損を認めた有罪判決からは、韓国で慰安婦は絶対的な存在で、誰も否定できないことがあらためて示された。

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