辞表提出の慰安婦財団理事には無力感 合意否定の文在寅大統領の路線へ

 【ソウル=名村隆寛】慰安婦問題をめぐる日韓合意に従い、韓国政府が設立した「和解・癒やし財団」が、理事5人の辞表提出により運営の危機に直面している。運営が続いても、合意に否定的な文在寅大統領の意向に沿ったものになる可能性がある。日本が求める合意履行が一層遠のくのは必至だ。

 財団は昨年7月に金兌玄(キム・テヒョン)理事長を含む11人で発足し、今春2人が辞任した。5月の文政権発足後、7月には鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)女性家族相が財団事業の点検を表明し、理事長が辞任。今回、辞表を出した5人を除く残る3人は、外務省や女性家族省など政府派遣職員らだ。

 文政権による日韓合意の検証対象には財団も含まれていた。関係者によると、昨年まで韓国政府から支給された運営費が政府予算からは出なくなり、やむを得ず、日本からの資金の一部で補おうとしたことなどが問題視されたという。

 合意に基づき日本政府が拠出した10億円から、合意時点で存命だった元慰安婦の8割弱に金が支給され、現在生存する32人中、24人が金を受け取っている。こうした財団の努力や成果にもかかわらず、大統領自らが合意を否定する発言をした。理事らは「ここまでが精いっぱい」(関係者)と一様に無力感を示しているそうだ。

 関係者は「5人の辞表が理事会で受理されても、新たな理事2人以上が選ばれれば財団の運営は続く」としている。しかし、予算カットに加え、事業さえ否定される中、運営の中断や運営方針が変更される可能性も出てきた。

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