民族に染まった平昌五輪 金与正氏は「感性独裁」の主導者

【久保田るり子の朝鮮半島ウオッチ】

 北朝鮮がまた攻勢に出た。平昌五輪閉会式に軍の実力者で工作機関の責任者だった大物、金英哲(キム・ヨンチョル)氏を代表とする高官団を送り込む。開会式に次いで平昌五輪は北朝鮮の韓国取り込みに利用されることになった。注目を集めた女性応援団は北朝鮮独特の情緒洗脳のプロたちだった。北朝鮮専門家が「感性独裁」と呼ぶ手法で人間の感情を操る精鋭たちだ。これを主導するのは、金正恩(ジョンウン)朝鮮労働党委員長の妹、金与正(ヨジョン)氏が責任者を務める党宣伝宣伝扇動部だ。韓国は懐柔されたのか。韓国世論の7割以上が南北首脳会談の開催に賛成している。

■「統一を成し遂げるために来ました」

 ここまでの北朝鮮の微笑外交を担ったのはほとんどが北朝鮮女性たち。訪韓団約450人の8割を女性が占めた。25日の閉会式でも笑顔を振りまくだろう。

 彼女たちが所属するのが党宣伝扇動部。責任者の部長が金与正氏で、副部長は五輪に合わせてソウルなどで公演した「三池淵(サムジヨン)管弦楽団」団長の玄松月(ヒョン・ソンウォル)氏である。党宣伝扇動部長は金正日氏も長く務めた要職で、同部は北朝鮮の「絶対権力機関」と呼ばれる独裁の主管部署だ。

 北朝鮮では1948年の建国以来、金一族を崇拝させるための洗脳統制にあらゆる手段が使われてきた。韓国の北朝鮮専門家はこれを、軍事独裁と並ぶ「感性独裁」と呼ぶ。映画や音楽、詩や小説、絵画などで人間の感情を操る心理統治のため、北朝鮮では専属詩人や作家、俳優、歌手などが育成されている。

 平昌五輪に派遣された女性応援団はそのプロたち。キーワードは「統一」だった。メディアの問いかけにも堂々と答え、応援では必ず「祖国統一」「私たちはひとつ」と叫んだ。

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