かすむ最大限の圧力、顕在化する米朝の温度差 首脳会談から1カ月

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がシンガポールで史上初の米朝首脳会談を行ってから1カ月となる12日、米側は米兵の遺骨返還をめぐる実務者協議を見込んでいたが、北朝鮮側が応じず、仕切り直しとなった。両首脳は「朝鮮半島の完全非核化」で合意したものの、具体的進展も見られず、温度差が顕在化している。米国と北朝鮮、韓国の思惑と今後の展望を探った。

米国「リビア方式」放棄…「中朝主導」に高まる懸念

 米朝首脳会談を受け、今月6~7日に平壌で行われたポンペオ米国務長官と北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長らによる高官協議で明白になったのは、トランプ政権が北朝鮮を比較的短期間で核放棄させた後、見返りに経済制裁を解除する「リビア方式」の非核化追求を断念したことだ。

 ポンペオ氏は8日、訪朝に続く東京での日米韓外相協議の後の記者会見で、米朝首脳が合意した「非核化」「(体制の)安全の保証」「米朝の平和的関係の構築」を「同時並行的に進めていく」と表明した。

 これは、北朝鮮が非核化に向けた措置を段階的に進めていくのに合わせ、体制保証や米朝関係の正常化につながる措置を事実上の「見返り」として提供することを意味する。

 ポンペオ氏は「非核化実現まで北朝鮮への経済制裁は維持する」と強調する。しかし、北朝鮮の最大の貿易相手国である中国が米国の制裁関税に反発して中朝国境貿易の取り締まりを緩める中、北朝鮮への「最大限の圧力」路線は確実に骨抜きとなりつつある。

 北朝鮮と中国が求める「段階的措置」による非核化に対しては、米国の核専門家の間でも「現実的手法だ」とする指摘はあるものの、今後の交渉が中朝の思惑に乗って進む恐れが強まった事実はぬぐい難い。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ