フランコ総統の墓移転 国会で承認 年内着手めざす 遺族は反発

 【パリ=三井美奈】スペイン下院は13日、1975年まで独裁を敷いたフランコ総統の墓を、慰霊施設「戦没者の谷」から移転する法令を賛成多数で承認した。遺族は強く反発しているが、サンチェス首相は年内に墓を移転する方針。

 下院採決は賛成が172票、反対が2票、棄権が164票だった。与党・社会労働党や野党ポデモスなど左派陣営のほか、内戦中、左派の拠点だったカタルーニャ自治州の地域政党などが支持。中道右派野党の国民党、シウダダノスの多勢は棄権した。カルボ副首相は下院で「遺族が墓を移転しないなら、政府がしかるべき移転先を決める」と述べた。法令は8月に閣議決定された。

 「戦没者の谷」は総統がスペイン内戦(36~39年)勝利後に建設を命じ、内戦の犠牲者ら約3万人が埋葬された。内戦に負けた左派の政治犯が多数労働を強いられ、首相は今年6月の就任時、施設は「独裁の象徴」だとして墓の移転を公約していた。13日、下院の承認を受け、ツイッターで「フランコ政権の犠牲者の権利回復に向け、歴史的一歩となった」と発信した。

 スペインは総統の死後、政治犯特赦を法で定め、内戦や独裁体制の責任を封印することで民主国家として再出発した。墓の撤去は国内対立を再燃させかねず、今月初めの世論調査では、40%が「社会に傷を残す」と墓移転に懸念を示した。

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