反体制派“最後の砦” 安田さん行方不明になったシリア・イドリブ

 【カイロ=佐藤貴生】フリージャーナリストの安田純平さんは、シリア内戦で最後の激戦が行われる懸念が出ていた北西部イドリブ県に入り、行方不明になった。解放の情報が事実だとすれば、シリアでどの武装勢力に拘束され、どのような経緯でトルコに出国したかにも注目が集まりそうだ。

 安田さんは2015年6月、トルコ南部ハタイからシリアのイドリブに越境した。複数回にわたって安田さんとみられる男性の動画がネット上に投稿された18年7月、「仲介者」を自称するシリア人男性は産経新聞の取材に、動画の男性は安田さんだとした上で、「どのような組織が彼を拘束しているか十分な情報がない」と話していた。

 安田さんは当初、国際テロ組織アルカーイダ系のイスラム過激組織「シリア解放機構」(旧ヌスラ戦線などで構成)に身柄を拘束されたとみられていたが、その後はアルカーイダ系の「フッラース・ディーン」という別の組織に身柄が移ったとの情報も出ていた。武装勢力は身代金を求めて日本政府に接触を図っていたとの情報もある。

 イドリブは11年に始まった内戦の激戦地の一つ。17年4月にはアサド政権側がイドリブで化学兵器を使用した疑惑が浮上し、トランプ米政権が単独でシリア軍基地をミサイル攻撃する事態に発展した。

 イドリブは反体制派武装勢力の“最後の砦(とりで)”でもある。アサド政権は内戦を通じ、国内各地で撤退交渉に応じた武装勢力をイドリブに向かわせ、一網打尽にする計画だと指摘されていた。「フッラース・ディーン」もイドリブに存在する有力組織の一つとされる。

 アサド政権軍がこの夏以降、イドリブを包囲する形で大規模攻撃の準備を進めたため、隣国トルコとロシアは9月、前線に「非武装地帯」を設けていた。

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