分断深まりトランプ外交は激しさ増す 簑原俊洋(みのはら・としひろ)神戸大教授

 トランプ大統領は下院で共和党の過半数を失い、来年1月からの議会は「ねじれ」が生じる。下院には政府に対してチェック機能を働かせる委員会があり、民主党はトランプ氏の納税問題やビジネスと大統領権限に関する「利益相反」の疑惑への追及を強めるだろう。トランプ氏にとって不本意な選挙結果のはずだ。

 メキシコ国境への「壁」建設の予算措置もめどが立たなくなる。トランプ氏は「国境を守りたいのに民主党が妨害する」と支持者に訴え、2020年大統領選に向けて米国の分断はさらに深化するのではないか。

 「2つのアメリカ」が一つにまとまる機会があるとすれば、トランプ政権下で先鋭化した中国やロシア、イラン、北朝鮮との対立といった国家的危機だろう。

 中国への覇権移行を食い止める-という考えは民主党も同じだ。よく貿易戦争と言うが、今起きているのは弾丸やミサイルが飛び交わない貿易を手段とした戦争だ。米国は多少の経済的損失は覚悟の上で、それ以上に中国が傷つくと考えている。

 再選を目指すトランプ氏の外交が激しさを増し中国経済が失速すれば、習近平政権は国内の結束を固めるために東シナ海に目を向け台湾や尖閣諸島をめぐる情勢が不安定化するかもしれない。そうなれば日本の安全保障にも影響が出る。経済面でも貿易赤字額の削減など目に見える成果を求め、意図的な通貨安誘導を禁じる為替条項や数値目標を飲ませようとする動きが出るかもしれない。(聞き手 平田雄介)

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