手薄な警備狙われた スリランカ連続テロ

 連続爆破が起きたスリランカは、内戦終結から約10年たち、平和と経済成長を続けていた。そのためか、今回狙われたホテルやキリスト教会では、十分な治安対策がとられていなかったようだ。警備が手薄で狙いやすい「ソフトターゲット」として、スリランカが標的にされた可能性がある。

 「爆破があったのは、全て海岸に近く外国人客が多い五つ星ホテル。ただ、金属探知機などのテロ対策は一切なかった」

 日本貿易振興機構(ジェトロ)コロンボ事務所の糸長真知所長は、東南アジアなどイスラム過激派を抱える国では“常識”である、高級ホテルでの手荷物検査などが、現地ではとられていなかったと指摘する。

 30年近く続き10万人が死亡したとされる内戦は、ヒンズー教徒中心のタミル人が独立を求め、仏教徒中心のシンハラ人と争った民族間紛争。2009年の終結後の治安は安定していた。

 人口の約7割を仏教徒が占め、イスラム教徒は約1割、キリスト教徒は1割弱と、いずれも少数派だ。昨年3月には、イスラム教徒と仏教徒の間で襲撃事件があり非常事態宣言が出されたが、近隣諸国に比べれば宗教間対立は限定的だ。

 一方、中東への出稼ぎが多く、現地で過激思想に染まったイスラム教徒が、テロ組織のメンバーとなってスリランカに帰国している、との懸念は強い。

 人口約2100万人のスリランカは、中国からの資本流入などで、近年は数%の経済成長を続ける。中でも、昨年は230万人を呼び込んだ観光業は、国内総生産(GDP)の6%(2017年)を占める基幹産業。日系企業も通販や電鉄大手が、現地でリゾート開発を進めている。

 英語旅行ガイド本「ロンリープラネット」は、2019年のおすすめ1位の国にスリランカを選んだ。同政府は、今年の観光客数を300万人に引き上げる目標を掲げたが、テロで暗雲が立ちこめた。

 スリランカでは昨年、首相の任免をめぐり政治が混乱した。テロ対応などをめぐり、再び政情が不安定となる恐れもある。(コロンボ 岩田智雄)

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