文大統領、就任2年に北ミサイルの冷や水 それでもやまぬ北擁護と支援

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮による9日の短距離弾道ミサイルの発射は、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領の10日の就任2年の節目に冷や水を浴びせた。それでも米朝対話の橋渡しが最大の成果とみなされてきた文氏は、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長には対話の意思があると擁護し、北朝鮮への食糧支援を進めようとしている。

 朝鮮中央テレビは10日、オレンジの炎を噴き出し、打ち上がるミサイルの写真を放映した。下には移動式発射台が見えるが、日本海側での4日の発射での車輪式とは違い、道路外も走れる無限軌道式車両だった。

 北朝鮮は単なる実験ではない「軍事訓練」と位置づけ、金氏は「いかなる不意の事態にも対処できるよう万端の戦闘動員態勢を整えよ」と指示。いつどこからでも多様な方式で「実戦」想定の発射ができると見せつけた格好だ。だが、最も脅威にさらされるはずの韓国で、文政権は対北支援へのこだわりを見せている。

 ソウルでは10日、米国務省のビーガン北朝鮮担当特別代表が出席し、北朝鮮問題を協議する米韓作業部会を開催。韓国側は対北食糧支援策を重点的に取り上げる方針だったが、結果を説明する記者会見は急遽(きゅうきょ)取りやめに。康京和(カン・ギョンファ)外相と会談したビーガン氏は「北朝鮮が交渉に復帰できる扉は依然開かれている」と述べ、康氏が「真摯(しんし)な対話が重要だ」と応じるなど交渉継続の姿勢だけは確認した。

 文氏の就任2年に合わせた国内外の記者団との懇談会も延期となった。文氏は9日のテレビ出演で、北朝鮮の発射の意図について「非核化対話を自国の望む方向に導くための圧迫」との見立てを述べながらも、日米韓に脅威を与えない方式で発射したとし、「北朝鮮も対話の場を壊さないよう気遣いした」との判断を口にした。軍事分野の南北合意の違反には当たらないとの見方も示し、「同胞愛や人道的観点」から食糧支援が必要だと強調した。

 「戦争のない朝鮮半島」を最重視してきた文氏は、北朝鮮の挑発にもかかわらず、金氏の立場をおもんばかることが軍事的緊張緩和につながると信じているようだ。韓国紙の中央日報は10日付社説で、文政権の食糧支援策について「状況が厳しくなれば、南側を脅して見返りを引き出す北朝鮮の常套(じょうとう)戦術が再演される」恐れがあると指摘した。

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