脱石油にイラン禁輸…元売り大手、業績堅調も先行きにリスク

 石油元売り大手3社の平成31年3月期決算が15日、出そろった。昨年後半の原油価格下落などが響き3社とも最終減益となったものの、出光興産と昭和シェル石油の経営統合で、業界には価格競争が一段落するとの安心感も漂う。ただ、“脱石油”の流れに加え、米政権によるイラン産原油の禁輸措置など供給不安定化の懸念もぬぐえず、先行きにリスクを抱えたままだ。

 「共同調達などで統合効果は300億円に膨らみそうだ」。出光興産の酒井則明執行役員は15日の決算会見で、令和2(2020)年3月期の業績予想に自信をにじませた。同期はJXTGホールディングス(HD)が「前年度に続き中期目標に達する」(杉森務社長)ほか、コスモエネルギーHDも最終利益で約13%増と大幅増を見込む。

 強気の背景には流通市場の安定化がある。平成29年4月のJXTG誕生や今年4月の出光・昭シェル統合で、燃料油の国内販売シェアは3社が約9割を占める。業界を悩ませた安売り競争は収束に向かっており、コスモの植松孝之常務執行役員は「石油事業でマージン(利幅)がとれている」と手応えを口にする。

 ただ先行きは安泰ではない。JXTGの長期ビジョンでは、温室効果ガスを排出しない「脱炭素社会」への流れなどで「2040年には国内石油需要は半減する」と想定、カーシェア事業などを今後の成長分野に挙げる。コスモも令和3(2021)年度をめどに洋上風力発電を開始し、23万キロワットの風力発電容量を4年までに40万キロワットに高めるなど新事業の育成を急ぐ。

 イラン産原油の輸入停止も今後に影を落としかねない。日本国内におけるイラン産原油の輸入比率は全体の5%程度で、3社は「代替先は確保できている」と口をそろえるが、割安とされるイラン産原油が手に入らなければ、中期的に利幅が縮小する恐れもある。

 米国とイランの対立が激化すれば中東地域からの調達自体が危ぶまれる。出光の酒井氏は「(中東情勢で)原油価格が一時的に大きく動くことも否定できない」と表情を引き締めた。

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